2008 Fiscal Year Annual Research Report
家禽を用いた新規“GLP-1-ノルアドレナリン系入眠促進機構"の解明
Project/Area Number |
20658062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷川 信 Kobe University, 大学院・農学研究科, 教授 (60107985)
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Keywords | GLP-1 / 睡眠 / 中枢投与 / 行動 / 食欲 |
Research Abstract |
牛乳を分画し、得られた画分を用いて鶏における入眠促進作用について調べた結果、α-ラクトアルブミンに入眠を誘導する効果が認められたこと、及び、その効果は下部小腸におけるプレプログルカゴンmRNAの発現促進に基づく可能性が示されたことから、α-ラクトアルブミンを主要な消化酵素である膵消化酵素(パンクレアチン)を用いて分解し、HPLCを用いたゲルろ過クロマトグラフィー分画物から、我々が確立した鶏初代培養小腸細胞培養系におけるプレプログルカゴンmRNA発現促進を指標に、牛乳由来入眠促進画分を検索中である。これまでの結果から、牛乳に含まれる入眠促進因子はα-ラクトアルブミン由来のペプチドである可能性が極めて高く、その一次構造の同定を行なうことができれば、ヒトにおける睡眠障害の改善に寄与することができると判断される。また、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の中枢入眠促進機構について調べ、GLP-1の側脳室内投与は、哺乳動物におけるGLP-1の標的組織として知られている脳幹の摂食抑制神経ペプチド前躯体であるプロオピオメラノコルチン(POMC)のmRNA量には影響を及ぼさないこと、及び、GLP-1による入眠の促進は、β-アドレナリン受容体阻害剤のプロプラノロールにより緩和されることを見出した。これらの結果から、α-ラクトアルブミンによるGLP-1を介した入眠の促進には脳幹のPOMCは関与しないこと、及び、β-アドレナリン受容体が関与することが示唆された。
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