2009 Fiscal Year Annual Research Report
mRNAスプライシング制御におけるインスリン受容体基質の新機能解明の試み
Project/Area Number |
20658065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (00197146)
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Keywords | インスリン受容体基質(IRS) / RNAスプライシング / インスリン / インスリン様成長因子(IGF) / RNA結合タンパク質 / cross-linking immunoprecipitation (CLIP) |
Research Abstract |
申請者らは、インスリンやインスリン様成長因子(IGF)のシグナルを仲介するインスリン受容体基質(IRS)のmRNAスプライシング制御における新機能の解明を目的に研究を行った。その結果、1.293細胞やMCF7乳ガン細胞の抽出液をRNaseで処理し、IRSを含む複合体の大きさをスクロース密度分画法などで解析した結果、RNase処理によって複合体の大きさが減少したことから、これらの細胞内でIRSがRNAと複合体を形成していることがわかった。2.IRSと結合するRNAを特定するため、IRS-1を293細胞に発現し、相互作用するRNAをcross-linking immunoprecipitation(CLIP)法によって解析した結果、約40種のmRNA、スプライソソームを構成するU2snRNA、およびU6snRNAの同定に成功した。同定されたmRNAの一部はイントロン配列でIRSと結合することから、未成熟RNAとしてIRSと相互作用していると考えられた。3.IRS-1/2は細胞質に存在することが知られているが、免疫染色法による解析の結果、MCF7乳ガン細胞において一部は核内にも存在し、特にスペックル状の構造に集積していることがわかった。4.IRS-1を293細胞に過剰発現し、同定されたIRS-1結合性mRNAをPCR法で増幅した結果、一部のmRNAはIRS-1の過剰発現によって未成熟型RNAが増加したことから、IRS-1がmRNAスプライシングを抑制すると考えられた。一連の解析から、核内における未成熟mRNAのスプライシング制御というIRSの新機能を示すことに成功した。
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