2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20658067
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辰巳 隆一 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (40250493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野谷 航 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (20404056)
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Keywords | 骨格筋 / 筋幹細胞 / 衛星細胞 / 肝細胞増殖因子HGF / セマフォリン3A / 運動神経細胞 / 神経細胞忌避因子 / 筋肥大・再生 |
Research Abstract |
動物の成長や運動に伴う筋肥大・再生の過程で、筋線維に付着している運動神経ネットワークは再構築されるが、それを支配すろ分子機構は全く不明である。これを解明できれば、運動神経の再構築を促進する画期的な技術の創出が期待され、運動神経の退行疾愚を抑制したり筋肥大・再生を促進できると予想される。 本研究では神経細胞忌避因子semaphorin3A(Sema3A)に着目し、その発現を誘導する因子および作用機構を解明することを目指している。初年度では、衛星細胞の初代培養系を用いて、分化初期の筋幹細胞(衛星細胞)が肝細胞増殖因子(HGF;筋肥大・再生に不可欠な因子)を受けるとSema3Aの発現・分泌が誘導されることを明らかにした。本年度(最終年度)では、HGFの細胞膜受容体として唯一同定されているC-METが上記のSema3A発現シグナリングに関与しているかどうかを調べるとともに、衛星細胞でのSema3A発現が生体内でも起きるかどうかを調べた。 先ず、衛星細胞の培養系にC-METの特異的中和抗体を添加しても、HGFによるSema3A発現には何ら影響がないことを明らかにしたこのことは、未知の受容体がSema3A発現シグナリングに関与していることを示している。次に、ラットの後肢のふくらはぎの筋を鉗子で圧迫し、筋再生を誘導するIN VIVO実験系を確立した。経時的に筋から衛星細胞を単離し、Sema3AのmRNA発現量の変化を調べたところ、筋損傷後4日目から有意に上昇しはじめ、8日目から12日目までほぼ一定となった後、30日目には元の低いレベルに戻った。この変化は細胞分化マーカーであるmyogeninの発現量の変化と良く対応していた。また、Sema3Aを発現している細胞はデスミン陽性であることから、筋損傷・再生過程で衛星細胞がSema3Aを合成することが明らかになった。これらの実験結果は、衛星細胞が合成分泌するSema3Aによって神経細胞の配向や接着を積極的に制御しており、これにより衛星細胞が筋線維の肥大や修復だけではなく運動神経網の再構築にも関与していることを示唆している。またHGFは衛星細胞の活性化・増殖を促進する他、細胞分化期にはSemu3Aの合成を誘導することから、HGFの時系列的な巧みな生理作用も明らかになった。 後述の雑誌論文(Tatsumi et al. 2009)がEditorial Focusに選定された。 McLoon, L.K., A new role for satellite cells : control of reinnervation after muscle injury by semaphorin 3A. Focus on "Possible implication of satellite cells in regenerative motoneuritogenesis : HGF upregulates neural che morepellent Sema3A during myogenic differentiation". American Journal of Physiology-Cell Physiology 297. C227-C230 (2009).
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Research Products
(5 results)