2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20658070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀内 基広 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30219216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 理絵 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (70431335)
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Keywords | プリオン / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 再生医療 / β-ガラクトシダーゼ / 神経変性 / 神経栄養因子 / アストロサイト |
Research Abstract |
プリオンの増殖により神経組織は変性することから、プリオン病の治療には、変性した神経組織の積極的な修復が必要と考えられる。骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)は、脳虚血、あるいは神経変性疾患の病変部位に移行し、病状の改善に寄与することが知られている。そこで、MSCsがプリオン病の神経病変に移行するかを検討した。実験にはヒトテロメラーゼ遺伝子により不死化したヒトMSCs(hMSCs)を用いた。プリオン帯広株およびChandler株感染マウスの脳内及び、尾静脈からhMSCsを移植した。hMSCsはlacZ遺伝子を発現しているので、抗β-ガラクトシダーゼ抗体を用いた蛍光抗体法によりhMSCの動態を解析した。hMSCsを左側海馬に移植した場合、非感染マウスでは投与側の海馬だけにhMSCsが観察されたが、プリオン感染マウスでは2日後から3週間まで非投与側の海馬でもhMSCsの分布が認められた。また、非投与側への移行は、病変の増悪に伴い増加した。さらに病変の程度と一致して、帯広株感染マウスの視床下部は移行したが、Chanlder株感染マウスの視床下部への移行は軽度であった。これらの結果から、hMSCsはプリオン病の神経病変に移行することが明らかとなった。hMSCは静脈投与した場合でも脳病変へ移行した。また、hMSCsは神経病変部でBDGF, CTNF, NT3/4, VGEFなど多様な神経栄養因子を産生し、一部のhMSCsはMAP2陽性の神経細胞様の細胞へ、あるいはGFAP陽性のアストロサイト様の細胞へ分化した。以上の結果から、hMSCsはプリオン増殖抑制活性を有する遺伝子のベクターとして機能すること、および神経組織の修復に寄与することが期待できる。
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Research Products
(15 results)