2009 Fiscal Year Annual Research Report
異常に長い繰り返し配列のDNA上に金属イオンを解して自己集積する分子の開発
Project/Area Number |
20659003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 茂貴 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (10170672)
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Keywords | 繰り返しDNA配列 / ヘキスト / マイナーグループ結合 / 金属錯体 / 協奏的結合 |
Research Abstract |
目的:遺伝子異常のなかで、異常に長い繰り返しDNA配列が関連している疾患が知られており、対応が困難な遺伝子標的として残されている。本研究では、DNA結合部位と金属結合部位を併せ持つリガンドを用いて金属を介して自己集積させることによって、繰り返しDNA配列の認識を目指す。 結果:マグネシウムイオンとの錯体形成を介して、繰り返し配列のDNA上に集積することを期待し、アントラセノン骨格を基本に新たな錯体形成部位としてジオール基を含む新しいリガンドを設計した。平成21年度は、アントラセノン骨格に結合しているアルキル鎖がエチル基(Et-ligand)、ブチル基(Bu-ligand)およびヘキシル基(Hx-ligand)のものを合成し、ジオール基はトリエチレングリコールの末端に導入した。 (1) メタノール中でのMg(II)との錯体形成定数(Ks)を求めたところ、リガンド:Mg(ID=2:1錯体を形成し、Ks=8.2 x10^2(ET-ligand), Ks=3.1 x10^3(Bu-ligand), Ks=3.8 x10^3(Hx-ligand)、であった。リガンドの水溶性を考慮するとアルキル鎖はブチル基が相応しいものと判断された。 (2) ESI-MSにより錯体形成における金属の選択性とリガンド金属比を求めたところ、Mg(II)に対して選択的に2量体が形成されることが分かった。またCo(II)共存下では多量体の形成が示唆されたが、錯体の明確な成分比は求めることができなかった。 (3) 2本鎖DNAとの結合をエチジウムブロマイド競合実験により評価したところ、ブチル体リガンドとヘキシル体リガンドがほぼ同程度の錯体形成能を示すことがわかった。 以上の検討から、ジオール部分は付加的な錯体形成部位として作用していることを確認することができなかったが、DNAへの錯体形成においてはアルキル鎖の長さはブチル基が適当であることが分かった。
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Research Products
(3 results)