2008 Fiscal Year Annual Research Report
三量体Gタンパク質共役型受容体の脂質修飾による新たな制御機構の解明
Project/Area Number |
20659007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木原 章雄 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 教授 (50333620)
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Keywords | パルミトイル化 / 三量体Gタンパク質共役型受容体 / 脂質修飾 / アシルトランスフェラーゼ / スフィンゴシン1-リン酸 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
三量体Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は哺乳類に約千種類存在し, ホルモンや生理活性脂質等の様々な特異的なリガンドに結合し, 細胞内にシグナルを伝達する。近年, GPCRの新たな翻訳後修飾としてパルミチン酸による修飾(パルミトイル化)が報告された。殆どのGPCRがパルミトイル化による修飾を受けると予測されているものの, パルミトイル化は細胞膜発現, シグナル伝達活性, 脱感作過程等において受容体毎に異なった作用を示す。我々は互いに高い相同性を示すGPCRであるスフィンゴシン1-リン酸の受容体(SIP_1〜S1P_5の5種類が存在する)におけるパルミトイル化の役割を探ることで, 受容体毎の役割の違いに対する分子的な基盤を明らかにしようと試みた。我々はまずS1P_1〜SIP_5が実際にパルミトイル化されることを[^3H]パルミチン酸ラベルとアシルビオチン交換法により明らかにした。また, S1P_1に関しては, パルミトイル化を受ける残基として3つのCys残基を同定した。このCys残基をすべてAlaに置換した変異体S1P_1を作成して, 野生型S1P_1との比較を行なうことでパルミトイル化の役割を調べたところ, パルミトイル化はS1P_1の細胞膜への発現には必要でないものの, シグナル伝達能, 脱感作過程に重要であるごとが明らかとなった。 これまでGPCRのパルミトイル化を触媒する酵素(アシルトランスフェラーゼ)は同定されていない。近年, DHHCドメイン持つタンパク質ファミリーがアシルトランスフェラーゼであることが明らかとなったが, 哺乳類に23種類存在するため, 解析が困難である。我々はこれまでこれらの役割の違いとして細胞内局在や組織発現の違いを明らかにしてきたが, 本年度はこれらのうち, どのDHHCがGPCRのアシルトランスフェラーゼであるか検討を行った。その結果, DHHC-17とDHHC-21の過剰発現がS1P_1のパルミトイル化を促進することを見出したので, 今後in vitroやノックダウンの系でさらに検証していく予定である。
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