2009 Fiscal Year Annual Research Report
三量体Gタンパク質共役型受容体の脂質修飾による新たな制御機構の解明
Project/Area Number |
20659007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木原 章雄 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 教授 (50333620)
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Keywords | パルミトイル化 / 翻訳後修飾 / 三量体Gタンパク質共役型受容体 / 受容体 / 脂質 / スフィンゴシン1-リン酸 / リゾホスファチジン酸 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
三量体Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の殆どがパルミトイル化(S-アシル化)修飾を受けることが知られているが,その修飾の役割は受容体毎に異なっている。我々はこれまでにスフィンゴシン1-リン酸受容体S1P_1がパルミトイル化を受け,その修飾が効率的なシグナル伝達とインターナリゼーションに重要であることを明らかにしてきた。本年度の研究において我々はその詳細な分子機構の解析を行なった結果,パルミトイル化がインターナリゼーションに重要なセリン残基のリン酸化に必要であることを見出した。さらに本年度は類縁のGPCRであるスフィンゴシン1-リン酸受容体S1P_2とリゾホスファチジン酸受容体LPA_2のパルミトイル化の役割を解析することにより,GPCRにおけるパルミトイル化の役割を規定する因子の解明を目指した。我々はLPA_2のパルミトイル化を受ける2つのシステイン残基を同定し,そのシステインを含むCXXC配列が,LIMドメイン含有タンパク質TRIP6とアポトーシス関連因子Siva-1との結合に関わることを明らかにした。LPA_2を介したシグナルはアポトーシス刺激と拮抗して細胞の生存に関わるが,この相互作用が失われるとその効果が減弱することも見出した。一方,S1P_2もS1P_1やLPA_2と同様に7回目の膜貫通部位直下の細胞質領域に存在するシステイン残基でパルミトイル化を受けることを見出したが,その残基のアラニン変異体を作成してもまだパルミトイル化が残っており,S1P_2はGPCRとしては極めて珍しい例であるが,他の領域でパルミトイル化を受けることが明らかとなった。我々は最近N-メチルアスパラギン酸受容体依存的なセリンラセマーゼの細胞膜へのトランスロケーションにO-アシル化が関与することを見出しているが,S1P_2においてもシステイン残基以外がパルミトイル化されている可能性がある。
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Research Products
(5 results)