2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規な分泌性形態形成因子遺伝子の探索とその役割の解明
Project/Area Number |
20659010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 信行 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (10110610)
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Keywords | 分泌性因子 / BMP / アンタゴニスト / 脳 / 遺伝子機能抑制 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
我々は分泌性シグナル配列を指標にマウスのDNAデータベース上を探索し、新規分泌性因子Brorinを単離・同定した。これまでにBrorinが細胞外に分泌して、BMP antagonistとして作用することを明らかにしている。しかしながら、生体内における機能は明らかになっていない。優れた器官形成・疾患モデル動物として注目されているzebrafishを用いてbrorinの生体内における機能解析を行った。Zebrafish brorinは受精後16時間では腹側視床に、受精後24時間では神経線維束である前交連や、後脳の神経節など脳神経系特異的に発現していた。また、brorinの機能を阻害した胚では、brorinの発現部位と一致して脳の形成異常が認められた。従って、brorinは脳神経系特異的に発現し、脳・神経系の形成に関与していることが示された。次に、脳形成過程におけるbrorinの機能を詳細に調べるために、brorinが発生初期から間脳に発現していたことから、間脳のマーカー遺伝子の発現を検討した。その結果、brorin機能阻害胚の間脳においてdlx2aの発現が減少しており、更にnk2.1aの発現も間脳腹側の前方領域において一部減少していた。一方、shhの発現はbrorin機能阻害胚の間脳腹側において増加していた。これらの結果から、brorinは、間脳腹側の特性決定に関与していることが明らかとなった。また、brorin機能阻害胚におけるdlx2aの発現は間脳だけでなく終脳でも減少しており、dlx2aは終脳腹側及び間脳腹側においてgad1とolig2の発現調節に関与していることから、brorin機能阻害胚においてgad1とolig2の発現を検討した。その結果、brorin機能阻害胚の終脳腹側及び間脳腹側においてgad1とolig2の発現が減少していた。これらの結果から、brorinはGABA作動性ニューロン及びオリゴデンドロサイトの分化に関与していることが示唆された。さらに、axon guidanceにおけるbrorinの機能を調べるために、brorin機能阻害胚における神経軸索の走行を検討した。その結果、brorin機能阻害胚においてpost optic commissureや脊髄運動神経の軸索走行に異常が認められ、brorinはaxon guidanceにも関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)