2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学療法による遺伝病克服への挑戦:デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬の開発
Project/Area Number |
20659017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
林 良雄 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 教授 (10322562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 有理 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (70459725)
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Keywords | 薬学 / 遺伝病 / 有機合成化学 / 筋ジストロフィー / ネガマイシン / 遺伝子読み飛ばし |
Research Abstract |
本研究課題は、遺伝病の化学療法を開発するために(+)-ネガマイシンに焦点を当てた創薬研究を展開するものであるが、先ず始めに(+)-ネガマイシンを簡便で効率的に合成できるルートの確立をめざし、不斉を持たないBoc-glycinalを出発原料にして8工程(総収率41%)という高効率のルートを確立した(Chem.Commun.,(20)2379-2381(2008)にて報告)。このルートにより合成した(+)-ネガマイシンはリードスルー活性を示すことが知られているゲンタマイシンと同等の生物活性を有することが示唆された。また、本合成ルートは数多くの誘導体を合成できるものであることから、誘導体の合成を開始した(継続中)。 合成された誘導体の一つであるN-3では若干の活性の増強が観察された。そこで、ネガマイシンの化学構造に基づく誘導体の合成に加え、N-3を基本とした誘導体開発も開始した。したがって、これら2系統の創薬の流れを今後展開する予定である。ところで、N-3はリードスルー活性を示すが、(+)-ネガマイシンが本来有する抗菌活性が無いことから、この化合物においては哺乳類でのリードスルー活性と抗菌作用の間の作用の分離が実現できたと思われる。そこで、N-3を含む一般式を用いて特許を出願した(特願2008-317710)。 今後、様々な誘導体を合成し、構造活性相関研究を積み重ねることで、活性発現に必要な官能基の同定などの創薬化学研究を展開し、筋ジストロフィー疾患に有益な医薬品候補化合物創製に繋げたい。また、ネガマイシンの機能発現機構の解明にも迫りたい。
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Research Products
(8 results)