2008 Fiscal Year Annual Research Report
がんの微小環境によるホルモン受容体制御と内分泌がんの生存機構
Project/Area Number |
20659024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
清宮 啓之 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌化学療法センター分子生物治療研究部, 部長 (50280623)
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Keywords | 前立腺 / がん / アンドロゲン / ホルモン / 内分泌療法 / 細胞増殖 / 分子標的 / 創薬 |
Research Abstract |
前立腺がん細胞の多くは、アンドロゲンと呼ばれる性ホルモンに依存して増殖する。内分泌療法は、アンドロゲン信号伝達を遮断することですぐれた制がん効果を発揮するが、予後不良の耐性がんが再燃することが多く、根治療法を確立することが急務である。再燃性前立腺がんでは多くの場合、アンドロゲン依存性が消失しており、その分子機構として、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子の増幅や変異などが知られている。近年、再燃性前立腺がん細胞内に発現する短鎖型ARが報告されたが、その産生機構や分子機能、アンドロゲン非依存性やがん微小環境との関連は明らかでない。本研究では、再燃性前立腺がん細胞の増殖に対する短鎖型ARの機能的関与を明らかにすることを目的とし、以下の実験を行った。ヒト前立腺がん22Rv1細胞は、アンドロゲン応答性を保持する一方、アンドロゲン非依存的な増殖も可能な内分泌療法耐性がんである。同細胞は全長型ARおよびC末リガンド結合部位を欠失した短鎖型ARを発現している。我々はまず、ARの異なる機能ドメインを標的とした複数のsiRNAの効果を検討した。N末近傍部位を標的としたsiRNAは、全長型・短鎖型ARの両者を発現抑制し、22Rv1細胞の増殖を顕著に低下させた。一方、C末リガンド結合部位を標的としたsiRNAは、全長ARの発現を抑制したが、短鎖型ARの発現および細胞増殖には影響を与えなかった。全長型ARはアンドロゲン刺激により細胞質から核内に移行したのに対し、短鎖型ARはアンドロゲンの有無にかかわらず、細胞質および核内に恒常的に存在した。以上の結果から、再燃性前立腺がん細胞内に発現するC末欠失短鎖型ARは、RNAの選択的スプライシングにより産生され、核内でアンドロゲン非依存性細胞増殖に機能すると考えられた。これにより、短鎖型ARは再燃性前立腺がん克服のための有望な分子標的となる可能性が示唆された。
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Research Products
(14 results)