2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 隆司 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (30322770)
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Keywords | 幹細胞 / 精子形成 / 自己複製 / 移植 |
Research Abstract |
本研究の目的は精子幹細胞の分化系を確立することである。本年度、我々はマウス精子幹細胞の試験管内での分化誘導を行うために、細胞外マトリックス基質の一つであるラミニン上で精子幹細胞の培養を行った。マウス胎児由来繊維芽細胞の上で培養した場合はc-kitの発現は美弱にしか認めることが出来ないが、ラミニン上で培養された精子幹細胞はすべてc-kitを強く発現してくることが分かった。従来の生体内における免疫組織学的な解析によると、c-kitは精子幹細胞には通常発現されておらず、分化した精原細胞および初期の精母細胞のステージまで発現されていることが知られている。C-kitの培養細胞における発現誘導は精子幹細胞が分化を開始したことを示すものであるために、確認のために不妊マウスの精巣内に移植を行ったところ、c-kit陽性になった細胞であるにも関わらず、c-kitを発現していない精子幹細胞と同等のレベルの精子幹細胞活性をもっていることが確認された。この結果は、精子幹細胞の機能と表現型は試験管内では乖離しうることを示す。次に我々はこの培養系にさらに分化を誘導するためにretinoic酸を添加したところ、c-kit陽性の細胞はさらに小さな細胞へと変化したものの、1週間後にはアポトーシスによる細胞により消失した。現在、この細胞に細胞死抵抗性の遺伝子を導入し、細胞死のシグナルを抑制したときの分化能の検討を行っている。
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