2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外環境をセンスする知覚神経カルシトニン遺伝子関連ペプチドによる血管新生制御
Project/Area Number |
20659037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬嶋 正隆 Kitasato University, 医学部, 教授 (70181641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 隆 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (60185345)
鈴木 立紀 北里大学, 医学部, 助教 (70406940)
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Keywords | 胃 / 粘膜血流 / 運動 / CGRP / 軸索反射 / 血管新生 / CGRPノックアウトマウス / HUVEC |
Research Abstract |
胃をはじめとする消化管は神経系が豊富であることが知られ、しばしばセカンドブレインとも呼ばれる。従来より遠心路としての迷走神経系の機能は十分に研究されてきたが、1次求心性知覚神経の胃における生理的および病態生理的役割について十分な検討がおこなわれてこなかった。今年度は、胃の神経系、特に知覚神経の胃粘膜障害抑制機構を明かにした。知覚神経C-fiberの末梢にはカプサイシン受容体TRPV1が発現しており、カプサイシン投与によって脊髄視床路に刺激が入るのと同時に、軸索反射を介して逆行性に刺激伝導が生じ、知覚神経C-fiber末端に貯えられた小包からSubstance Pやcalcitonin gene-related peptide (CGRP )が遊離されることをマウス胃内腔を還流し、CGRP等を測定することで明らかにできた。 CGRPノックアウトマウスの作成にも成功し、同マウスを用いることにより、遊離されたペプチドのうちCGRPが胃粘膜障害抑制作用を持っていることを明らかにできた。カプサイシン以外にもいわゆるマイルドイリタントの刺激でもプロスタグランジン(PG)の生成が伴われる際には、CGRP遊離の感受性が増大することを明らかに出来た点も収穫である。マルドイリタントの様な比較的生理的な刺激でもこの機構が作動し役割を持つことを証明できた意義は大きい。CGRPノックアウトマウスの成果はGastroenterology等に報告したが、端的にまとめると、1)CGRP遊離が胃粘膜障害の抑制に重要であること、すなわち胃粘膜の血流障害や胃運動の亢進に対し遊離したCGRPが抑制的に作用すること、2)CGRPの遊離が内因性のPG特にPGI2で制御(増強)されていることを証明できた。さらに加えて、予備実験でCGRPに血管新生増強作用があることを、HUVECと線維芽細胞の共培養系で確認できた。今後はin vivoでの検討を展開する。
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Research Products
(4 results)