2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外環境をセンスする知覚神経カルシトニン遺伝子関連ペプチドによる血管新生制御
Project/Area Number |
20659037
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬嶋 正隆 Kitasato University, 医学部, 教授 (70181641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 立紀 北里大学, 医学部, 助教 (70406940)
大野 隆 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (60185345)
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Keywords | CGRP / がん性とう痛 / 神経ペプチド / 軸索反射 / 血管新生 / HUVEC / VEGF / 後根神経節 |
Research Abstract |
腫瘍による疼痛は、主にC繊維を刺激することが原因と考えられている。神経ペプチドのひとつであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、現在まで多様な効果が報告されている。CGRPが胃の血流調節を行い、粘膜保護作用を有することも明らかになってきている。CGRPによる血管の反応が固形腫瘍に対する血流増加をもたらし、腫瘍増殖を促すとの説もあるが、その証明は不十分であった。内因性CGRPが血流増加にとどまらず、腫瘍血管新生を増強することにより、腫瘍の増殖に役割をもつ可能性を検討した。スポンジ血管新生モデルを用いたin vivoの実験系で、まずCGRPが血管新生を増強することを見出した。内因性のCGRPが血流増加にとどまらず、腫瘍血管新生を増強することにより、腫瘍の増殖に役割をもつ可能性が考えられた。さらに外科的に後根神経を切断し後根神経節からのCGRP輸送を抑制してマウスに腫瘍細胞を移植したところ、切断に伴って腫瘍の増殖が傷害された。内因性のCGRPが腫瘍増殖、腫瘍血管新生を増強させるか否かを確認するために、CGRPノックアウトマウスを用いて、同様に腫瘍細胞を移植したところ、腫瘍の増殖、周囲の血管新生の抑制が認められた。これらに加え、in vitroのHUVECを用いた培養系では、HUVECのCGRP受容体の発現も確認でき、CGRP投与によりHUECにおける管腔形成の増強も認められた。これらのCGRPの腫瘍血管新生の増強は、血管新生因子VEGFを介したものと考えられ、VEGF発現がCGRPシグナリングの下流に位置することが証明された。癌の痛みをとることが患者のQOLをあげるだけでなく、神経ペプチドの放出抑制による制癌効果の可能性が提示できた。
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Research Products
(5 results)