2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小野 景義 Teikyo University, 薬学部, 教授 (40177259)
|
Keywords | 心筋再生 / 再生医学 / 心血管 / 洞房結節 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
心筋細胞は通常、誕生後は増殖能を失い、再生しないと考えられてきた。筆者は心筋再生への新たなアプローチとして成獣洞房結節細胞(sinoatrial node cell, SANC)に着目し、これを長期間培養した結果、SANCの周囲に自発拍動する細胞が新生すること、それが線維芽細胞から分化誘導される可能性、及び、そこに一部SANCからの液性因子が関与することを示唆する知見を得た。そこで、新生する心筋細胞の更なる特徴付けと、分化誘導の分子機序の解明を試みた。SANCsを3週間培養すると、新たに出現する細胞群に、Nkx2.5、GATA4、cTnT、desmin、SERCA2、RYR2及びANFの発現を認めた。また、心室筋型(MLC3)でなく心房筋型(MLC4)のみのミオシン軽鎖の発現を認めたため、心房筋型の細胞であると判明した。これらは、isoprenaline(10^<-7>)及びacetylcholine(10^<-6>M)でそれぞれ心拍数が増加・減少し、β_1受容体、M_2受容体及びその下流のシグナル経路を備えていると判明した。この心筋細胞新生は、SAKCsをCa^<2+>の流入及び細胞内遊離を抑制した状態で培養すると抑制され、cTnTの発現量も減少したため、心筋細胞新生に細胞内Ca^<2+>シグナルの重要性が明らかとなった。Endothelin-1は、心筋細胞の再生に対して培養初期で促進、後半では抑制効果を有し、至適タイミングの存在を示唆した。更に、ET_AR経路とET_BR経路とが共に必要であることが判明した。一方、AngiotensinIIは心筋再生への関与を示さなかった。EGFPを安定発現した線維芽細胞をSANCsと共培養すると、EGFP陽性細胞中に自発拍動する細胞群が出現し、これらに心筋マーカー(cTnT、desmin)の共発現を認めた。これは、線維芽細胞が心筋細胞に転分化又は心筋細胞と融合して心筋細胞を再生する可能性を示唆する知見である。
|