2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659040
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小野 景義 Teikyo University, 薬学部, 教授 (40177259)
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Keywords | 心筋再生 / 再生医学 / 心血管 / 洞房結節 / 線維芽細胞 / エンドセリン / アンジオテンシンII / 転写因子 |
Research Abstract |
筆者は、洞房結節にあるごく僅かの細胞集団であるペースメーカー細胞が個体の一生に亘り自律拍動の中心であり続ける点に着目し、洞房結節細胞(sinoatrial node cell, SANC)による心筋細胞或はペースメーカー細胞再生の可能性を、培養系を用いて探った。成獣のSANCを単離して1~3週間培養すると、その周囲に自発拍動する細胞群が形成され、その面積は日数を追って拡大した。この細胞群は心筋必須の遺伝子群を発現しており、isoprenaline、acetylcholineによりそれぞれ心拍数が増加、減少した。また、歩調取り電位を持つ活動電位を発生し、SANCと同等のイオンチャネル群が機能していることがわかった。 EGFPを安定発現した心臓線維芽細胞をSANCと共培養すると、その一部がcTnTやdesminを発現して自発拍動能を獲得した。また、SANCとの共培養により心筋線維芽細胞にNkx-2.5の発現を認めた。 一方、線維芽細胞から心筋細胞への分化誘導効果は、SANCを培養したconditioned medium(CM)では弱く、oxytocinなど既知の分化誘導因子、5-azacytidine等のepigeneticな修飾剤、及びcell-free SANC fractionとの共培養では認められなかった。心肥大の重要な因子であるAngiotensin IIには効果はなく、Endothelin-1も内因性には関与が無かった。CM中で電気刺激を加えると、線維芽細胞にcTnTやdesminの発現を見た。この心筋再生は、培養中に細胞内Ca^<2+>シグナルを阻害することにより抑制された。 以上の結果より、SANCが何らかの液性因子の分泌を介して線維芽細胞から心筋細胞を再生できること、それには直接接触による情報伝達及び電気的興奮を介したCa^<2+>シグナルが必須であることが判明した。
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