2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺岡 弘文 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 教授 (30019137)
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Keywords | ES細胞 / ゲノム不安定化 / 再生医療 / 奇形腫 / DNA修復 / DNA2重鎖切断 / DNA複製ストレス / がん幹細胞 |
Research Abstract |
万能細胞ともいえるES細胞やiPS細胞の臨床応用においては、多種多様な細胞系譜への効率的な分化誘導法の確立と共に、それらのゲノム・エピゲノム安定性維持が不可欠である。本研究では、「ES細胞が奇形腫を形成する過程およびin vitroでの増殖・分化過程におけるゲノム不安定化とその機構、ならびにその制御」の解明を目的とする。20年度で解明された成果とその意義を以下に列挙する。 1. マウスES細胞をある条件下で継代培養すると、初期にDNA2重鎖切断が生じ、染色体不安定化・増殖停止が認められ、その後パイルアップコロニーが形成される。このコロニーを形成する形質転換細胞は、p53に変異が導入されており、がん幹細胞様細胞と考えられる。ES細胞を幹細胞のモデルとして、幹細胞からがん幹細胞が直接生じることが示唆された。がん幹細胞の研究においても興味深い。 2. マウスES細胞をactivin Aで4日間、さらにEGF/FGF2/HGFで4日間培養することによって、肝芽細胞様細胞の分化に成功した。これら肝前駆細胞を胎齢14.5日のマウス胎仔肝臓にex utero法にて直接移植し、5日後(胎齢19.5日)に検定したところ、分化・増殖していることが判明した。本培養条件下では奇形腫は生じなかった。 3. ES細胞に特異的に発現し、奇形腫の発生とも関わる、恒常活性型のERasの転写制御について、プロモーターを同定し、NanogとKlfファミリーたんぱく質が結合することを明らかにした。さらに、イントロン1に強力なエンハンサーの存在することが判明した。
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