2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 潤 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (50173430)
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Keywords | 環境 / ストレス / 遺伝子 |
Research Abstract |
一般に温度が下がると、遺伝子発現、細胞運動、代謝等が低下する。しかし、哺乳類の精巣は常に軽度の低温環境下におかれ、そこでは活発に細胞分裂・分化を行う。軽度低温は、精巣だけではなく皮膚・上気道その他外界に接する場で生理的にみられ、種の存続や生体と外界との相互作用にとって非常に重要な環境と考えられるので、特異的な生体防御機構が存在するかも知れない。そこで本研究ではまず皮膚損傷の治癒過程に、軽度低温で発現が亢進する低温ショック蛋白質が関与していないかどうかを解析した。 1.皮膚創傷治癒過程における低温ショック蛋白質Cirpの機能 Cirpは正常皮膚で恒常的に発現していた。そこで、Cirp遺伝子ノックアウトマウスの皮膚を全層切除し、野生型マウスとで創傷治癒過程を比較したところ、有意に創傷治癒が遅延することを見出した。このときの遺伝子発現の変化を、免疫組織染色及びRT-PCRで解析中である。 2.Cirp遺伝子ノックアウトマウス由来細胞の遊走能の解析 Cirp遺伝子ノックアウトマウス由来線維芽細胞および皮膚上皮細胞は、ともに野生型マウス由来の細胞に比べて遊走能が低下していた。この機序を解析するために、細胞遊走に関与することが知られている遺伝子の発現、リン酸化の変化を検討し、差異を見出した。さらに、Cirp遺伝子ノックアウトマウス由来線維芽細胞にテトラサイクリン誘導性にCirpを発現させる系を作成し、Cirp高発現により発現の変化する遺伝子群(候補)をマイクロアレーにて同定した。現在、定量的PCRにて発現変化を確認し、細胞遊走に与える影響を解析中である。
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