2008 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の生き残りと寿命に関与するNb-hsp12-like遺伝子の機能の解析
Project/Area Number |
20659064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
有薗 直樹 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 教授 (10079725)
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Keywords | 線虫 / Nippostrongylus / 熱ショック蛋白 / 生存 / 寿命 |
Research Abstract |
小腸寄生線虫Nippostronglus brasiliensis (Nb)に発現するNb-hsp12遺伝子の役割を明らかにする目的で、以下の研究を行った。 1.Nb-hsp12遺伝子の発現時期:各発育期の虫体からRNAを抽出しcDNA合成後rea1-time PCRを行った結果、Nb-hsp-12はL3期幼虫(休眠期に相当)及び成虫の宿主からの排除期に当たる感染9日以降に高発現することが明らかとなった。hsp12を高発現する10d成虫を正常ラット小腸に移植すると,24時間内にhsp12発現レベルが低下した。 2.Nb-hsp12のゲノム解析:Nb DNAをBamHIで切断後、既知配列からプライマーを作成し、PCR後にTAクローニングした。Right walk法で3'側配列を解析した結果、3'UTR(98bp)を確定した。 3.Nb-hsp12蛋白発現:Nb-hsp12塩基配列から予測されるアミノ酸配列中のGVNPKTLKSSLDN配列に対して、ペプチドを合成し家兎に免疫した。免疫血清をさらに同ペプチドを用いてアフィニティー精製した結果、102,400倍のELISA titierを有するIgG抗体を得た。本抗体を用いて免疫抗体法を実施したところ、L3期幼虫の頭端に近い部位のcuticleが陽性に反応することが示された。 以上の結果から、Nb-hsp12は線虫の生き残りに強く関予する遺伝子と推定された。Nb-hsp12のゲノムは5'側の解析がまだ残されており、heatshock elementの存在の有無等を含めた全貌を今後明らかにする必要がある。また、線虫におけるNb-hsp12蛋白の発現については、さらに詳しいトポロジーの解析により、機能の詳細が明らかになるものと考えられる。
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