2008 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア生ワクチン実用化に向けての、熱帯熱マラリア原虫スポロゾイト培養法の確立
Project/Area Number |
20659065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
新井 明治 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 准教授 (30294432)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / マラリア / 培養 / ワクチン |
Research Abstract |
目的:年間100万人以上の命を奪っている熱帯熱マラリアに対する有効なワクチンを開発するため、媒介蚊からヒトへ注入される感染型であるスポロゾイトを弱毒化して生ワクチンとして用いる戦略が検討されている。我々は媒介蚊を用いることなく熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイトを得る方法を確立するために、in vitro培養による同原虫のスポロゾイト作成を目指している。このための前段階として、本年度はネズミマラリア原虫の培養系を用いてスポロゾイト産生効率を改善するための各種培養条件を検討した。 方法:ネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)感染BALB/cマウスより採取した血液を出発材料としてオオキネート培養を行い、精製したオオキネートをオオシスト培地に懸濁して約20日間培養を行った。経過中適宜培養サンプルを回収してギムザ染色標本を作製し、顕微鏡下で分化・発育状況を観察した。 結果:熱帯熱マラリア原虫培養のために購入したマルチガス・インキュベーターを用いて低酸素環境での培養を試みたところ、大気条件で培養する場合に比してオオシストの変性が軽微である傾向が認められた。また少数ながら、スポロブラスト形成像が認められた。 考察:オオシストの変性率低下とスポロブラスト形成誘導は、いずれもスポロゾイト産生効率を向上させるために必須のファクターであり、その意味では一定の成果が挙がったと言える。蚊体内発育ステージの原虫が低酸素環境を好むという事実は意外な結果であり、オオシストが激しい酸化ストレスにさらされていることを示唆しているものと考えられる。
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