2008 Fiscal Year Annual Research Report
施設内GIS(地理情報システム)による院内感染サーベイランスと危機管理への有用性
Project/Area Number |
20659081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 玲子 Niigata University, 医歯学系, 講師 (30345524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20091704)
佐々木 諭 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70463974)
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Keywords | 地理情報システム / GIS / 院内感染 / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 / デジタル / 院内地図 |
Research Abstract |
本課題では、MRSAなど薬剤耐性細菌感染症の院内感染伝播について地理情報システム(GIS)を導入して、病棟ベッド位置を加味した解析を行い、感染症対策のツールとする。MRSAなどの院内感染の主な伝播経路は、接触感染であるが、人を介するものと環境汚染に分けられる。これまで一般的に行われていたエピデミックカーブ解析では、患者のべッド配置や環境中の汚染源からの感染を考慮することが難しいため、本課題では、病棟の建築用CADデータを使ってGISソフトであるArcGIS9.3に取り込み、病室、ナースステーション、ベッド位置などの構造物を含む正確なデジタル地図として病棟そのものを再現し、そこへ患者の感染情報をレイヤーとして上乗せして、感染原因を特定する。 本年度は、2006年に新潟大学医歯学総合病院の1病棟(50床)でMRSAによる院内感染が多発した事例について解析した。患者のべッド配置と感染日時を時系列的に複数のレイヤーでディスプレイし、パルスフィールドゲルによるMRSAの菌種タイピングパターンを加味して検討したところ、同室の入院患者間でのMRSA伝播感染はみられず、むしろ医療スタッフ・グループに特異的なMRSAタイプの一致をみた。このため、本事例では同室の患者間で伝播しているのではなく、医療スタッフを介する接触感染が考えられた。 次年度は、東北大学病院の救急病棟の重症細菌感染症について解析を行う予定であり、すでに病棟のレイアウトについては、CADデータからArcGISデジタル地図への変換を終了しており、今後患者データの解析を開始する予定である。
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Research Products
(1 results)