2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
菊池 次郎 Jichi Medical University, 医学部, 講師 (60371035)
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Keywords | 発生・分化 / 再生医学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
【目的】胚性幹細胞(ES細胞)や造血幹細胞などの幹細胞は、種々の疾患の治療等へ応用か期待されている。しかしながら、幹細胞の利用には絶対数が少ないことや採取にリスクが伴うこと等様々な問題があり、臨床応用に向けた大きな隘路となっている。そこで私たちは、採取が容易で十分な細胞数が得られる末梢血白血球に着目、この細胞から多分化能を持つ幹細胞が誘導できれば、幹細胞利用における問題を解決できると考え、本研究に着手した。 【方法】1.末梢血白血球と造血幹細胞における遺伝子発現様式を比較、造血幹細胞に高発現する転写調節因子を同定する。2.同定した遺伝子を末梢血白血球に導入し、遺伝子発現様式を造血幹細胞の発現様式に限りなく近づけることによって、造血幹細胞の誘導を目指す。 【結果】1.造血幹細胞と末梢血白血球における転写調節因子の発現様式を比較した結果、数種類のホメオボックス転写調節因子が、造血幹細胞において高発現し、末梢血白血球には発現が見られないことを見いだした。2.これらの遺伝子を単離し、ウィルスを用いて末梢血白血球に導入することにより、80%以上の高効率で遺伝子導入可能なシステムを構築できた。3.種々の遺伝子を導入した末梢血白血球を数日間培養後、造血幹細胞特異的マーカーであるCD34やc-kitなどの発現を検出した。その結果、数%の細胞にこれらマーカーの発現を確認できた。また、造血幹細胞の特徴である半固形培地中における細胞コロニーの形成を、遺伝子導入した白血球を用いて行ったところ、造血幹細胞と同様なコロニー形成が確認できた。これらの結果から、末梢血白血球から造血幹細胞が誘導できる可能性を見いだすことができた。 【今後の計画】1.導入遺伝子の撰別による効率の向上。2.動物実験による検証。
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