2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659088
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
菊池 次郎 Jichi Medical University, 医学部, 講師 (60371035)
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Keywords | 発生・分化 / 再生医学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
1. 目的;造血幹細胞は骨髄移植などの治療に用いられており、今後もその利用拡大が期待されている。しかしながら、絶対数が少ないことや採取にリスクが伴うこと等の問題が明らかとなっている。私たちは、採取が容易で十分な細胞数が得られる末梢血白血球に着目、ここから造血幹細胞を誘導できれば造血幹細胞利用の問題を解決できると考え、本研究に着手した。 2. 方法(1) 末梢血白血球と造血幹細胞における転写調節因子の遺伝子発現様式を比較、(2) 造血幹細胞に高発現する転写調節因子を末梢血白血球に導入・過剰発現させ、遺伝子発現様式を造血幹細胞に限りなく近づけることによって、造血幹細胞を誘導する。 3. 結果;昨年度までの検討の結果、造血幹細胞に高発現する遺伝子数種類を導入した末梢血白血球を数日間培養すると、造血幹細胞特異的マーカーであるCD34やc-kit発現細胞が誘導できることを明らかにした。今年度はさらなる効率の向上を目指し、実験を進めた。(1) 造血幹細胞の増殖(自己複製)促進のため、増殖刺激下にて造血幹細胞(CD34陽性CD38陰性細胞)と造血前駆細胞(CD34陽性CD38陽性細胞)とを分離し、やはり増殖刺激を加えた末梢血白血球との間で遺伝子発現様式を比較した。その結果、造血幹及び前駆細胞に高発現する転写調節因子を新たに数種類同定した。(2) 造血幹細胞ではヒストンのアセチル化やDNAが脱メチル化され転写が常に活性化状態にあることが明らかになっている。そこで、ヒストン脱アセチル化阻害剤とDNA脱メチル化剤の併用を試みた。共に細胞に傷害を与えない濃度を見いだし、遺伝子導入との併用を試みた。以上の結果、末梢血白血球からのCD34陽性細胞誘導の効率を若干ではあるが向上させることができた。 4. 今後の計画(1) 発現ノックダウン併用等によるさらなる誘導効率の向上。(2) 動物実験による多分化能の検証。
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