2009 Fiscal Year Annual Research Report
海馬機能障害に対する食品由来栄養素の保護作用に関する研究
Project/Area Number |
20659095
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
今井 秀樹 University of Miyazaki, 医学部, 准教授 (00232596)
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Keywords | ルチン / 記憶 / 海馬 / トリメチルスズ / ラット / 錐体細胞 |
Research Abstract |
本研究では食品に含まれる栄養素などの神経傷害に対する保護作用について明らかにすることを目的とする。昨年度に引き続きそばに含まれるポリフェノール類の1つであるルチンに注目して検討を行った。雄6週齢のラットにトリメチルスズ(TMT)を投与して海馬傷害モデルとし、TMT投与前2週間と投与後2週間にわたって餌に0.75%(w/w)の濃度で混ぜたルチンを投与した。実験群はControl群、rutin群、TMT群およびTMT+rutin群の4群である。これら4群について空間記憶能の中枢である脳内海馬領域の顆粒細胞層および錐体細胞層の病理学的検査を施したところ、TMT群ではcontrol群に比較して錐体細胞層の有意な細胞脱落の増加がみられたが、TMT+rutin群ではTMT群に比較して有意に細胞脱落数下が抑制されていた。Control群とrutin群との間に同試験の結果に有意差はみられなかった。また顆粒細胞層では群間に細胞数の差はみとめられなかった。これらのことから、食事由来のルチンは脳内海馬領域の錐体細胞層の脱落を抑制し、このことが記憶能低下を抑制していることが示唆された。錐体細胞の記憶能発現に関する機序は明らかでない点が多いが、うつあるいは認知症などの疾患において、海馬領域の錐体細胞が脱落する場合のあることが知られている。従来副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモンやインターロイキン1などの免疫因子が神経細胞脱落に関与することが示唆されていることと併せて、さまざまな記憶障害の予防に同物質が応用できる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)