2009 Fiscal Year Annual Research Report
初期中皮腫に対する革新的な診断法および治療法の開発
Project/Area Number |
20659096
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
網中 雅仁 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 助教 (30231997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 礼子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (30321897)
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Keywords | 中皮腫 / 診断法 / 治療法 / PDD / PDT / 5-アミノレブリン酸 / 炭化ケイ素 / 動物実験 |
Research Abstract |
我が国では、今後中皮腫患者の増加が懸念されているにもかかわらず、早期診断法や標準治療法は確立されておらず、有効な診断法および治療法の確立が急務とされている。その手段として5-aminole vulinic acid(ALA)の腫瘍集積性を用いた光線力学診断法(photodynamic diagnosis ; PDD)およびポルフィリンのスクリーニングやクリアランスが新たな診断法となる可能性について検討を試みた。 本年度はFisher344雄性ラットによる動物実験を昨年度と継続して実施した。ラットに炭化ケイ素繊維(SiC)5mg/匹を腹腔内投与し、約30週後に投与ラットを解剖して中皮腫の発症を確認した。血液・肝臓・腎臓・脾臓および腹膜を採取した。別群にALA塩酸塩-生理食塩水経口投与群を設定し、4時間後および8時間後、24時間後に中皮腫の発症を調べ、前述群と同様に臓器を採取した。採取した臓器はシュークロースを加えてホモジナイズし、前処理後にHPLC-蛍光検出器を用いて各ポルフィリンの分離定量を行った。 その結果、対照群に腹膜中皮腫の発症は無かった(非腫瘍群)が、すべてのSiC投与ラットに腹膜中皮腫が認められた(腫瘍群)。腫瘍群の各臓器中プロトポルフィリン濃度は非腫瘍群よりも高値で、腫瘍発生の腹膜では特に有意な高値であった(p<0.01)。腫瘍群では投与されたALAが代謝され、腹膜においてプロトポルフィリンの有意な高値を認めた(P<0.001)。一方、非腫瘍群ではALAを投与しているにもかかわらず腫瘍群のような臓器中プロトポルフィリン濃度の蓄積を認めず、ALAを投与していない非腫瘍群と比較して有意差はなかった。 以上のことから、中皮腫発症ラットでは投与されたALAが腫瘍部に取り込まれ、代謝されてプロトポルフィリンの蓄積が確認された。一方、腫瘍発生の無いラットでは中皮腫発症ラットに比較してALAがポルフィリンに代謝されずに体外へ排出されていくことが明らかになった。以上のことからALAの代謝によるポルフィリン濃度の変化が中皮腫発症の有効な診断の1つになり得ることが推察できた。
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Research Products
(1 results)