2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
大山 正幸 Osaka Prefectural Institute of Public Health, 衛生化学部生活環境課, 主任研究員 (40175253)
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Keywords | 亜硝酸 / 二酸化窒素 / 喘息 / 大気汚染 / 動物曝露実験 |
Research Abstract |
近年、大気中に亜確酸が数ppbの濃度で存在することがわかってきた。亜硝酸は大気汚染物質である二酸化窒素(NO_2)の公定法によりNO_2として検出されるため、今までNO_2が原因と考えられていた喘息は、亜硝酸が原因だった可能性がある。実際にイギリスの疫学調査により、従来、NO_2の影響とされていた呼吸機能低下は亜硝酸が原因であると報告された(2005年)。しかし、亜硝酸の喘息影響に関する動物曝露実験の報告はない。今回、先ず、亜硝酸の動物曝露実験システムを開発した。次に、マウスに約9ppm亜硝酸を3週間曝露し、肺の組織学的検索を行った。その結果、気管支上皮細胞の増加や気管支の蛇行、肺胞道付近での線維化や血管内皮細胞の肥厚などを認めた。但し、同じ濃度の比較では傷害性は亜硝酸よりNO_2の方が強いと推察された。さらに、モルモットに対し約3.5ppm亜硝酸を4週間曝露し、喘息影響の指標である気道抵抗(sRaw)値の測定や肺の組織学的検索を行った。その結果、気道抵抗値は対照群が1.326cmH2O/(ml/sec)に対し亜硝酸曝露群では1.612cmH2O/(ml/sec)と若干高くなったが、この差は統計的には有意確率0.06と有意ではなかった。但し、肺の組織学的検索では亜硝酸曝露群で気管支の収縮影響が認められ、亜硝酸曝露による気管支収縮が原因で気道抵抗値が上昇したと考えられた。今回の実験では気道抵抗値の有意差が無かったため、亜硝酸とNO_2との喘息影響の強さの比較は困難だが、NO_2による気道抵抗値の上昇を確認した論文報告のNO_2濃度に比べれば、1/4程度の亜硝酸濃度で気管支収縮が観察されている。従って、亜硝酸の喘息影響についてはさらに検討する必要があり、今年度は亜硝酸曝露実験でサイトカイン測定なども実施する予定である。
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