2008 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア高浸淫地域におけるクロロキン耐性インフルエンザウイルス出現と医療への影響
Project/Area Number |
20659099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 宏 Niigata University, 医歯学系, 教授 (20091704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 玲子 新潟大学, 医歯学系, 講師 (30345524)
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Keywords | クロロキン / インフルエンザ / 薬剤耐性 / 新型インフルエンザ / マラリア / 熱帯・亜熱帯地域 |
Research Abstract |
1.研究の目的 抗マラリア剤のクロロキンは、最近広域スペクトラム抗ウイルス剤として注目され、安価で世界各地で容易に手に入る事から、新型インフルエンザを含むインフルエンザ対策への有用性が注目されている。一方、熱帯、亜熱帯地域のインフルエンザ疫学は不十分であり、マラリアとの診断からクロロキンを使用する可能性は高く、クロロキン耐性インフルエンザウイルス発生は予知されるが、実態は不明である。本研究では、in vitroでのクロロキン耐性インフルエンザウイルスを作成し、その機序、熱帯、亜熱帯地域のインフルエンザウイルス分離株からの耐性株発生頻度を検討し、耐性株発生のインフルエンザ対策に与える影響と、本薬の有用性を検討する。なおき我々は、クロロキン添加における継代培養で耐性株発生を既に確認しているが、その機序解明には至っていなかった背景がある。 2.方法と結果 これまで教室で保存してきたA型(A/H1N1, A/H3N2)インフルエンザを検査材料とし、ウイルスをMadin-Darby Canine Kidney (MDCK)細胞に接種後クロロキン添加と無添加培養液で培養し、ウイルスの感受性を比較し、TCID50が2.0以下を耐性株と判定した。 A/H1N1では2001/2002シーズン6件中1件(16.7%)、A/H3N2では2000/2001シーズンは10件中2件(20.0%)、2001/2002シーズンは4件中2件(50.0%)であった。これまでの予想を超えて、熱帯でない日本でも自然界に多数のクロロキン耐性株が検出された。現在、ウイルスは東南アジアから北上して日本に来るとされており、我々の結果と併せ、既に世界各地にクロロキン耐性ウイルスが浸淫している可能性が強く示唆された。最近では、アマンタジン耐性株、タミフル耐性株が発生するなど、インフルエンザの研究において、薬剤耐性株の動向を慎重に研究する重要性が改めて示された。
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