2009 Fiscal Year Annual Research Report
次世代の成傷時期推定方法の開発を目指して:皮膚microRNAの応用
Project/Area Number |
20659107
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
久保 真一 Fukuoka University, 医学部, 教授 (10205122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池松 和哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80332857)
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Keywords | miRNA / マウス / 皮膚 / 損傷 |
Research Abstract |
法医解剖における外表検査、特に損傷の検査は死因の究明とともに重要な検査の一つであり、その結果をもとに成傷方法や成傷時期の推定等が行われる。しかし、これまでの種々のマーカーを利用した検査法では、早期(1から5日以内)の受傷時期を診断することは困難であり、新しいマーカーの開発は法医実務上必須である。超短鎖RNAであるmicro RNA(miRNA)は、生体において重要な機能を有している。その作用機序は、相補RNA鎖の発現を抑制するというものであり、新規の生体制御分子として注目されている。本年度では、昨年報告した損傷後5,7日目にピークを認めるlet-7aに着目し、Target遺伝子と推定されているTmem194、Cpd、Tgfbr1、Acvr1b、Bc17c、Bzw1について、これらの遺伝子が損傷5日目以前にピークが発生するものと推定し、つまり、早期マーカーの候補遺伝子と成りうるか否かをマウス損傷皮膚において遺伝子発現量を検討した。その結果、Tmem194、Cpd、Tgfbr1、Acvr1bのピークは、3ないし4日目に認められた。この結果は、miRNAが標的遺伝子量を減少させる機能を有することを鑑みると、let-7aの発現が増加することによって、5日目以降に、Tmem194、Cpd、Tgfbr1、Acvr1b遺伝子量が減少しているものと考える。さらに、これらの遺伝子およびその産物であるタンパク質は受傷後の早期マーカーの候補となることが強く示唆された。 また、Bcl7c、Bzw1の発現はある程度の量がみとめられたものの、その量に明らかな差異を認めなかった。従って、let-7aの標的遺伝子と考えられている種々の遺伝子でも組織や刺激による反応において差異が生じていることが推定される。
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