2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼少期の心理的ストレスは成長後の喘息発症・増悪に影響を与えるか?
Project/Area Number |
20659111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 千春 Kyushu University, 大学病院, 教授 (80117100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 一文 九州大学, 大学病院, 助教 (20444854)
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Keywords | ストレス科学 / 喘息 / 視床下部-下垂体-副腎軸(HPAaxis) |
Research Abstract |
喘息のマウスモデルを用いて、幼少期に心理的ストレスまたは身体的ストレスを受けたマウスの成長後の喘息に与える影響を検討した。4週齢時に心理的ストレスである、コミュニケーションストレス(CS),身体的ストレスであるフットショックストレス(FS)を負荷した後、8,10週に卵白アルブミン(OVA)で感作し、11週齢にOVA気道チャレンジを行った。 その結果、気道チャレンジ24時間後、幼児期にCSを負荷した群(CS群),FSを負荷した群(FS群)の両群で、気道における白血球数増加と好酸球増加を認め、気道過敏性の亢進も認めた。以上の結果より、幼児期の心理的ストレスや身体的ストレスは、成長後の喘息に悪影響を及ぼしていることを示した。また、CS群でOVAチャレンジ後の血漿コルチコステロン値の抑制をみとめ、血清OVA特異的IgE値の上昇を認めた。さらに、グルココルチコイド受容体(GR)拮抗薬であるRU-486の前投与を行うと心理的ストレスによって誘発される喘息の増強を抑制した。しかし、ニューロキニン1阻害剤GR-82334の前投与やムスカリン拮抗薬であるアトロピンの前投与では、幼児期ストレスによる喘息増悪を改善しなかった。以上の結果より、幼児期の心理的ストレスは、視床下部一下垂体一副腎軸(HPAaxis)の調節異常を介して、成長後の喘息を悪化させることが示唆された。幼児期の身体的ストレスも成長後の喘息を悪化させるが、これはニューロキニン1受容体やムスカリン受容体を介していないことが示唆された。次年度の実験では、HPAaxisのどの部位で異常をきたしているのかを詳細に検討する。また、幼児期の身体的ストレスがどのようなメカニズムで成長後の喘息増悪に影響しているかも、検討していく予定である。
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