2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼少期の心理的ストレスは成長後の喘息発症・増悪に影響は与えるか?
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20659111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 千春 Kyushu University, 大学病院, 教授 (80117100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 一文 九州大学, 大学病院, 助教 (20444854)
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Keywords | ストレス科学 / 幼児期ストレス / 気管支喘息 / 視床下部-下垂体-副腎軸 / コルチコステロン / グルココルチコイド受容体 |
Research Abstract |
前年度の検討で、幼児期の心理的・身体的ストレスは、成長後の気道炎症,気道過敏性を増悪させることを示した。本年度は詳細なメカニズムの検討を行った。4週齢時に心理的ストレスである、コミュニケーションストレスが負荷された群(CS群)では、コントロール群や、4週齢時に身体的ストレスであるフットショックストレスを負荷された群(FS群)と比較して、OVAチャレンジ直後の血漿ACTH値の抑制を認めた。OVAチャレンジ吸入24時間後では、コントロール群と比較してCS群で、気管支肺胞洗浄液中のIL-5濃度が高値であり、胸腔内リンパ節中の細胞数が有意に増加していた。また、胸腔内リンパ節中のCD陽性4T細胞のOVA刺激に対するサイトカイン産生は、コントロール群と比較してCS群,FS群でIL-5の産生量が多かった。前年度・本年度の結果より、幼児期の心理的・身体的ストレスは、成長後のOVA喘息モデルにおける気道炎症,気道過敏性を増強させることを示した。特に、幼児期に心理的ストレスが負荷されると、成長後の感作された抗原刺激に対する視床下部-下垂体-副腎系の反応が低下し(ACTH放出,コルチコステロン放出の低下し)、感作された抗原刺激に対する抑制機能が正常に惹起されないため、過剰な免疫反応が引き起こされると考えられた。その結果、抗原特異的CD4陽性T細胞からのIL-5産生量が増加することで過剰に好酸球が増加し、気道炎症が増悪することによって気道過敏性が亢進することが示唆された。 喘息予防・管理ガイドライン(2009)に記載されているように、激しい感情表現やストレスは、気管支喘息の増悪要因となりうる。今回の検討によって、ストレスと気管支喘息の関係について、さらなる理解が深まり、気管支喘息の発症や増悪の抑制につながると期待される。
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Research Products
(1 results)