2008 Fiscal Year Annual Research Report
育児期の母親の拘束ストレスが母子双方に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
20659112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西村 甲 Keio University, 医学部, 講師 (20218192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石毛 敦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20383705)
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Keywords | 東洋医学 / 育児期ストレス |
Research Abstract |
注意欠陥多動性障害などの異常行動は、周産期ストレスを起因としたストレス脆弱性亢進が関連する可能性がある。我々は、母仔分離ストレスの実験を通して、仔自身が直接受けるストレスのみでなく、ストレスを受けた母親による仔への間接的影響も考慮する必要があると考え、産後の母親に拘束ストレスを負荷し、仔への影響を検討した。母親が拘束ストレスを負荷された仔(RS群)では離乳時に低体重が観察され、低体重は持続した。仔の血中アルブミン、総タンパク、総コレステロール値に両群で差はなく、仔の成長障害の原因として低栄養は否定的であった。RS群では、仔の血中IGF-1濃度は有意に減少し、肝臓でのigf-1発現量が減少した。GHRH負荷試験では、control群のGH分泌は、負荷10分後有意に増加したが、RS群では変化しなかった。視床下部でのghrh、sst、下垂体でのghrh-receptor、肝臓でのgh-receptor発現量は、両群で有意差がなかったが、RS群の下垂体でのgh発現量は、control群に比し有意に減少した。以上より、母親への拘束ストレス負荷は、仔のGHRHシグナル伝達からGH産生までの過程に影響を及ぼし、IGF-1産生低下と成長障害を起こす可能性が示唆された。 次に、拘束ストレスの負荷による母親への影響について検討した。RS群の自発運動量は有意に低下したが、うつ様症状はなかった。摂餌量は両群で差はなかったが、RS群の血中アルブミンと総タンパク値が有意に低下した。RS群では視床下部のprl発現量が減少傾向にあった。 本研究より、母マウスに対する拘束ストレス負荷が、母親のみならず仔にも成長障害を起こし、下垂体のGH産生に影響を与えることが明らかとなった。この結果は、乳児期の子どもに対する母親の重要性のほか、子の成長において、母親の受けるストレスを十分に考慮する必要性を強く示唆する。
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