2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659115
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大澤 恵 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 助教 (10397391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊熊 睦博 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00275108)
山田 貴教 浜松医科大学, 医学部, リサーチアシスタント (10402265)
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Keywords | スタチン / 腸管粘膜免疫 / 腸管上皮間リンパ球 / サイトカイン / T細胞 / INF-γ / TNF-α / Th1 |
Research Abstract |
スタチン系薬物は高脂血症治療薬として、国内外で広く使用されているが、近年免疫調節作用や抗炎症作用があることが注目されている。しかし、これまで消化管の粘膜免疫システムに対する直接的作用について検討した報告はない。本研究では、スタチンの消化管粘膜免疫に与える新たな免疫制御の効果を検討することを目的とし、マウス腸管上皮間リンパ球(IELs)を単離培養し、サイトカイン産生に対する薬理学的作用を検討した。マウスC57BL/6を用い、IELsは小腸より機械的攪拌により細胞抽出後、比重遠心法で分離した。purityは70~80%で90%以上はCD3陽性のT細胞で構成されていた。サイトカイン産生は48時間培養後の上清でCytometric Bead Array(CBA)を用いて測定した。非刺激培養条件では、各種サイトカイン産生はなく、PMA/ionomycin刺激、CD3/CD28刺激にてINF-γ、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-10などのサイトカイン産生が確認された。スタチンの薬理作用の検討に先立ち、免疫調節作用を有するヒスタミンの影響を検討したところ、Th1サイトカインの有意な抑制効果があり、これらはIELsに存在するヒスタミンH2受容体を介することが明らかになった(Takagaki K, et al.J Gastroenterol 2009)。この結果をふまえて、sinvastatinのIELsの産生するサイトカイン産生への調節作用を検討した。Th1サイトカインである、INF-γ、TNF-α、IL-2が用量依存的に強力に抑制されることが明らかとなり、これはヒスタミンの作用より強かった。本結果から、消化管粘膜免疫に対してスタチンがIELsに直接作用してサイトカイン産生を調節することが示された。スタチン製剤の消化管免疫疾患に対する、新たな治療薬としての可能性が期待される。
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Research Products
(2 results)