2008 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化病変の進展および破綻における免疫系細胞活性化分子の役割の解明
Project/Area Number |
20659122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下川 宏明 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00235681)
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Keywords | 動脈硬化 / 免疫 / T細胞 / OX40 / OX40L |
Research Abstract |
近年の研究により、動脈硬化病変の進行において、T細胞をはじめとする免疫系細胞が重要であることが明らかとなってきた。本研究では、T細胞活性化分子であるOX40とそのリガンドであるOX40Ligand(OX40L)とのシステム(OX40/OX40L系)の抑制により、動脈硬化病変の進行の抑制が可能か否か、遺伝子改変マウス、ヒト組織を用いて基礎的、臨床的に詳細な検討を行った。 平成20年度は、下記の点について研究を遂行した。 1. Apo-E遺伝子欠損マウスにおける動脈硬化病変へのOX40/OX40L系の影響 以下の遺伝子欠損マウスに高脂肪食を摂取させ、OX40/OX40L系の抑制により、動脈硬化病変の進行が抑制されるか否かを検討した。 (a) Apo-E/OX40L遺伝子ダブル欠損マウス(ApoE^<-/->/OX40L^<-/->) (b) Apo-E遺伝子単独欠損マウス(ApoE^<-/->) 高脂肪食投与後、マウス大動脈ならびに大動脈弁において、ApoE^<-/->/OX40L^<-/->はApoE^<-/->に比して、有意に動脈硬化面積が減少していた。また、動脈硬化の安定性に関与する、マクロファージや平滑筋細胞についても免疫組織学的手法により評価したが、両群間で有意な差は認められなかった。 2. ヒト冠動脈動脈硬化病変におけるOX40/OX40L系の発現の検討 剖検の際に得られたヒト冠動脈組織を使用し、免疫組織化学的手法を用いて検討したところ、内膜深部にOX40Lの発現が認められた。この発現部位は血管内皮のマーカーであるCD34と一致し、この結果から、OX40Lはヒト冠動脈内膜深部の微小血管内皮に発現していることが明らかとなった。 これらの結果より、ヒト動脈硬化病変においてOX40/OX40L系の発現が認められること、OX40/OX40L系の抑制により、ApoE遺伝子欠損マウスの動脈硬化病変の進行が抑制されることが明らかとなった。
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