2009 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化病変の進展および破綻における免疫系細胞活性化分子の役割の解明
Project/Area Number |
20659122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下川 宏明 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00235681)
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Keywords | 動脈硬化 / 免疫系細胞 / OX40 / OX40L系 |
Research Abstract |
近年の研究により、動脈硬化病変の進行において、T細胞をはじめとする免疫系細胞が重要であることが明らかとなってきた。本研究では、T細胞活性化分子であるOX40とそのリガンドであるOX40Ligand(OX40L)とのシステム(OX40/OX40L系)の抑制により、動脈硬化病変の進行の抑制が可能か否か、遺伝子改変マウスを用いて基礎的、臨床的に詳細な検討を行う。平成21年度は、下記の点について研究を遂行した。 骨髄細胞におけるOX40Lの発現の動脈硬化病変における影響を調べるため、以下の実験を施行した。動脈硬化発症マウスであるApoE遺伝子欠損マウス(ApoE^<-/->)の全身にX線を照射したのち、2種類のGFPマウス(全身の体細胞がGFP陽性かつOX40L発現に関しては野生型;GFP-WT、全身の体細胞がGFP陽性かつOX40L遺伝子欠損マウス;GFP-OX40L^<-/->)由来の骨髄(BM)を移植し、以下の骨髄置換キメラマウスを作成した。 (a)ApoE^<-/->/GFP-WT-BMキメラマウス (b)ApoE^<-/->/GFP-OX40L^<-/->-BMキメラマウス これらのキメラマウスに高脂肪食を摂取させ、動脈硬化病変の面積を評価したところ、両群間に有意な差を認めなかった。また、蛍光顕微鏡を用いて骨髄由来細胞の動脈硬化病変への動員を評価したが、こちらに関しても両群間に有意な差を認めなかった。これまでの我々の研究で、ApoE/OX40Lダブル遺伝子欠損マウスは、ApoE遺伝子欠損マウスに比して、動脈硬化病変が減少することが確認されている。本年度の結果を踏まえて考察すると、動脈硬化病変形成においては、骨髄におけるOX40Lよりも血管局所のGX40Lの発現がより重要であることが示唆される。本結果により、血管局所のOX40Lによりターゲットをしぼった動脈硬化治療法の開発の可能性が考えられるため、臨床的にも重要な意義がある結果と考える。
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Research Products
(7 results)