2008 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージニッチによる心血管代謝疾患発症機構の解明と治療法開発
Project/Area Number |
20659123
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 良三 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤生 克仁 東京大学, 医学部・附属病院, 特任助教 (30422306)
武田 憲文 東京大学, 医学部・附属病院, 特任助教 (60436483)
|
Keywords | マクロファージ / 炎症 / 動脈硬化 / メタボリックシンドローム / 肥満 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
肥満、インスリン抵抗性、脂質異常、高血圧を中心とする代謝異常の集積したメタボリックシンドロームが心血管疾患の重要なリスクファクターとして注目されている。我々は、新しいイメージング手法を用いて脂肪組織の肥満は局所的慢性炎症を惹起することを明らかとしてきた。そこで、本研究計画はメタボリックシンドロームや動脈硬化発症の起因となるマクロファージの心血管代謝組織への選択的な浸潤と活性化を支持する微小環境(マクロファージニッチ)という新しい概念を導入し、病態におけるその役割を明らかにするとともに、ニッチ形成に必須な分子としてS100蛋白に着目しその機能を解析するとともに、治療法への展開を検討した。その結果、脂肪組織肥満の際に、遊離脂肪酸の刺激を受けてSlOO蛋白の発現が誘導されること、発現誘導されたSlOO蛋白がマクロファージをリクルートして炎症を惹起することを明らかとした。また、脂肪細胞とマクロファージの共培養系を用いて、SlOO蛋白がこれらの細胞のクロストークに必須の分子であることを見いだした。肥満脂肪組織では、脂肪細胞及び間質細胞の両者からのSlOO蛋白分泌が増加しており、この増加が肥満による脂肪組織炎症にっじゅうようなや区割りを果たしていると考えられる。さらに、S100蛋白発現抑制により、脂肪細胞-マクロファージ相互作用が抑制されることを確認した。今結果は、SlOO蛋白が治療標的となり得ることを示す。
|