2008 Fiscal Year Annual Research Report
食塩感受性高血圧におけるrelaxinの関与の検討
Project/Area Number |
20659135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
池谷 直樹 Shizuoka University, 保健管理センター, 教授 (80283357)
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Keywords | relaxin / 線維化 / 食塩感受性高血圧 / TGF-β |
Research Abstract |
平成20年度に行なった実験 (1) relaxin中和抗体投与による食塩感受性の変化 食塩感受性高血圧における内因性relaxinの関与を検討する為に以下の実験を行なった。方法:Dah1食塩感受性ラットとDah1食塩抵抗性ラットに8%食塩負荷食を与え、それぞれのラットを、正常兎血清を週2回静脈注射した群と、relaxin中和抗体を週2回静脈注射した群に分けた。4週間の飼育を行ない、血圧、尿タンパクなど比較し、4週後に屠殺して腎組織を採取して組織学的に検討した。結果:食塩感受性ラットでは、抗体投与の有無に変わらず、血圧は上昇し4週後には、両群ともに平均収縮期血圧は200mmHg程度以上を示した(食塩感受性+中和抗体;206.3±7.27mmHg,食塩感受性;207.7±4.41g vs.食塩抵抗性+中和抗体;144.3±6.17g,食塩抵抗性;132.1±2.27g:p<0.01)、尿タンパク増加も同様に認め、中和抗体投与の有無に関して有意な差は認めなかった。食塩感受性モデルでは、食塩抵抗性モデルに比較して、腎組織は間質の線維化を示した。考察:今回の検討では、内因性のrelaxinの阻害による食塩感受性の変化は認めなかった。雄性モデルでは、血中のrelaxin濃度は低い為に、内因性のrelaxinの作用は食塩感受性に関わる作用は軽微であることが示唆された。 (2) relaxinの抗線維化作用に対する効果の検討 目的:食塩感受性モデルでは、上述のように、間質の線維化が著明である。腎臓におけるrelaxin投与時に抗線維化作用の有無を、強力な線維化作用を有するTGF-βに関する影響を中心に検討した。方法:ラットに抗胸腺抗体を投与して、腎炎を作成した。投与後翌日に、relaxinをosmotic minipumpで投与して、対照群として、生理食塩水を投与した。結果:尿タンパク、細胞外基質の増加が腎炎作成後に認められたが、両群で血圧には差はなく、relaxin投与群では生食投与群に比較して、有意に尿タンパク(生食投与群;66.6mg/day vs. relaxin投与群;35.8mg/day, p<0.05)と細胞外基質の減少を認めた。さらにTGF-βの活性化シグナルであるpSMAD2の発現はrelaxinの投与により、有意に抑制されていた。考察:Relaxinのin vivoの細胞外基質合成抑制効果が認められ、TGF-β活性化抑制を介することが明らかになった。
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