2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659138
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
横田 隆徳 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90231688)
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Keywords | RNA干渉 / siRNA / 脳血管関門 / 脳血管内皮細胞 / ビタミンE / コレステロール / 脳梗塞 / 多発性硬化症 |
Research Abstract |
我々の開発したビタミンE結合siRNA(VE-siRNA)に蛍光色素であるCy3を標識させ、リン酸緩衝食塩水に溶解してマウスの尾静脈から投与したところ、大脳皮質や線条体、海馬を始めとした脳のあらゆる部位に血管に沿ったCy3シグナルを認めた。Cy3シグナルの強度はVE-siRNAの容量に依存して強く、また投与してからの時間が短いほど(特に1時間以内)強く観察された。血管内皮細胞のマーカーであるvon Willebrand因子の抗体を用いた免疫染色にて、このCy3シグナルが脳血管内皮細胞に局在することが判明した。神経細胞やグリア細胞といった他の細胞には、Cy3シグナルはわずかに観察されるのみであった。 ビタミンEを結合させていない同じ塩基配列のsiRNAを投与した場合は脳内にCy3シグナルは見られなかった。ビタミンEの代わりにコレステロールを結合させたChol-siRNAの場合には、VE-siRNAと同様に脳血管内皮細胞に一致したCy3シグナルが見られ、その輝度もVE-siRNAの場合と同程度であった。VE-siRNAとChol-siRNAの機能の差異については、全脳から抽出したRNAを用いてRT-PCR法を行うことで、現在評価している段階である。 以上より、ビタミンEやコレステロールといった脂質を結合させたsiRNAを、ウイルスやリポソームを始めとしたベクターを用いることなく、単独で静脈内投与するのみで脳血管内皮細胞へのデリバリーが可能になると考えられた。多発性硬化症などの免疫疾患や脳梗塞といった脳血管内皮細胞が病態形成に関与している疾患の治療に、我々の開発したVE-siRNAが応用できる見込みがあると思われた。さらに、今回の研究から、侵襲性の高い処置を必要とせずベクターの投与に伴う副作用も考慮しなくてよいことから、臨床応用がしやすいという大きな長所を見出すことができた。
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[Journal Article] Inhibition of hepatitis C virus infection and expression in vitro and invivo by recombinant adenovirus expressing short hairpin RNA2008
Author(s)
Sakamoto N, Tanabe Y, YokotaT, Saito K, Sekine-Osajima Y, Nakagawa M, Itsui Y, TasakaM, Sakurai Y, Chen CH, YanoM, Ohkoshi s, Aoyagi Y, Maekawa s, Enomoto N, Kohara M, Watanabe M
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Journal Title
J Gastro Hepatol 23
Pages: 1437-1447
Peer Reviewed
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