2008 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム病の網羅的変異体立体構造データベースの構築
Project/Area Number |
20659166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
櫻庭 均 Meiji Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (60114493)
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Keywords | リソソーム病 / 立体構造 / データベース / ファブリー病 / ムコ多糖症I型 / テイーサックス病 |
Research Abstract |
リソソーム病の原因となる疾患責任酵素蛋白質の立体構造変化を網羅的に解析し、その情報をリソソーム病に対する適切な治療方針の策定に活用するためのデータベースを構築することを目的として研究を行った。 今年度は、まず、リソソーム病の中でも頻度が高く、臨床的重要性が高いテイーサックス病、ムコ多糖症I型およびファブリー病を対象として、夫々の病因となるアミノ酸置換による酵素蛋白質の構造変化について解析した。当該酵素蛋白質分子を構成する原子の中で、変異により影響を受ける原子の数、root-mean-square distanceおよびsurface-accessible surface areaを計算することで、立体構造変化の位置と大きさとを推定するシステムを作製し、その結果を臨床情報とを照合した。これらの疾患では、発症が早く重症の経過をとるタイプでは、酵素分子内部に大きな構造変化を来たし、発症が遅く比較的軽症の経過をとるタイプでは、酵素分子表面に小さな構造変化を来たす傾向があることが明らかになった。また、ファブリー病に対して治験が行われている酵素増強療法用の治療薬が有効なタイプの症例は、酵素分子表面上に小変化を来たすものが多いことも示された。 これらの解析結果を基に、ファブリー病の病因となる遺伝子変異によって起こる当該酵素分子上の立体構造変化を推定し、その生化学的特徴と臨床的予後および治療の有効性に関して推測するためのフローチャートを予備的に作製した。今後、その整備と検証を行う予定にである。
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