2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳房外Paget病における癌幹細胞の同定および解析
Project/Area Number |
20659175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
橋本 公二 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00110784)
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Keywords | 癌 / 血管新生 / 幹細胞 / 細胞制御 / 治療 |
Research Abstract |
乳房外Paget病の病因及び治療標的を同定すべく、Paget病の癌微小環境に関わる網羅的検索を行った。(方法)愛媛大学皮膚科における乳房外Paget病87例について、患者履歴と病理組織診断を基に腫瘍細胞の特性を検討した。蛍光二重染色を行い、病理標本は共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。(結果)浸潤癌では上皮-間葉転換を来たしていた。正常皮膚では、表皮角化細胞がE-cadherinを発現していた。上皮内癌では、腫瘍細胞膜表面におけるE-cadherinの発現が減弱し、一部細胞内に同定された。上皮内癌腫瘍細胞では、間葉系マーカーN-cadherin,またはvimentinの発現は同定し得なかった。浸潤癌では、腫瘍細胞がN-cadherin,またはvimentinを発現していた。統計学的検討を行い、N-cadherin, vimentin,細胞内E-cadherin,は、上皮内癌に比べて浸潤癌に特異的に発現していることが明らかとなった。さらに、N-cadherin, vimentin,細胞内E-cadherinの発現は、所属リンパ節転移に相関しており、新規予後因子であることが示唆された。以上、本研究課題では1.乳房外Paget病では上皮-間葉転換を来す場合があり、患者予後に関わること。2.乳房外Paget病では、上皮-間葉転換が新たな治療標的となる可能性を見出した。病理組織学的に、上皮-間葉転換を来した病変部は浸潤能を獲得しているだけではなく、急速に増殖している。従って、乳房外Paget病における癌幹細胞は、浸潤癌に豊富に存在することが示唆される。現在、患者病変部を免疫不全マウスに移植し、観察中である。本研究課題は、学内臨床研究倫理委員会で承認された。
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