2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 稔 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (70101178)
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Keywords | 放射線 / 薬学 / 癌 / 酵素 |
Research Abstract |
テロメラーゼは、真核生物の染色体末端に存在する構造体であるテロメアを延長させる酵素である。本酵素に対する阻害活性を有する高比放射能の放射性ヨウ素標識分子を、癌の内用放射線治療薬剤として応用し得る可能性について検討するため、そのような分子の創製を目指している。テロメラーゼの触媒遺伝子であるhTERTに対する混合型の非競合阻害剤であるBIBR1532をリード化合物として選択し、その分子の有するベンゼン環に<131>^I及び<125>^I放射性ヨウ素原子を導入すべく、最初にBIBR1532自身の改良合成法の開発に取組み、次に非放射性ヨウ原子を導入した標的分子の合成研究を展開した。Anthranilic acidにICIを作用、濃硫酸中メタノールによりメチル化後、2-amino-5-iodobenzoic acid lnethyl esterを合成した。引続き、α,β-不飽和カルボン酸体との縮合反応に付し、5-iodo-BIBR1532のエステル体(23%)を構築し、メチルエステル体の加水分解後、標的の5-iodo-BIBR1532を得た。引続き、5-iodo-BIBR1532及びそのメチルエステル体について、テロメラーゼ阻害活性を試験内にて評価した。既知のBIBR1532を本評価系の対照として用いた。方法はヒト白血病U937細胞の抽出液を酵素源として、テロメラーゼの基質となるオリゴヌクレオチド及び、検体試料を含む酵素反応液中に添加し、酵素反応を行った。反応液を電気泳動した後、CYBR Green染色したDNAをデンシトグラフィーにて定量解析し、結果をIC_<50>値として算出した。BIBR1532自身のIC_<50>値は0.447μMを示したのに対し、5-iodo-BIBR1532のそれは1.822μMであった。ヨウ素原子の導入により4倍程度の活性低下が認められた。BIBR1532のIC_50値は文献値より5倍程度高い値を示したが、定量法の違いによるものと考えられる。また、メチルエステル体の阻害活性は10μMでも阻害は全く認められず、BIBR1532分子中の遊離のカルボキシル基は阻害活性に必須の官能基であることが分かった。5-iodo-BIBR1532の生体内分布を検討するため、その<125>^I放射性標識分子の合成に取組んでいる。
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