2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経がん幹細胞のp53依存的放射線/抗がん剤/温熱感受性の検討
Project/Area Number |
20659194
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 特任教授 (60094554)
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Keywords | p53 / DNA修復 / 重粒子線 / X線 / アルキル化剤 / Lig4 / Akt-mTOR / Caspase |
Research Abstract |
(1) 脳腫瘍に広く用いられているアルキル化剤TMZ及びACNUは細胞にDNA二本鎖切断(DSB)をもたらす。その損傷を修復する酵素の働きを抑えると、治療効果が高まることが期待できる。DSB修復には相同組み換え修復(HR)と非相同組み換え修復(NHEJ)の二つの経路が関わっている。今年度、O^<6->メチルグアニン転移酵素遺伝子、HR修復関連遺伝子;XRCC2、Rad54、NHEJ修復関連遺伝子;Lig4がTMZ及びACNUの殺細胞効果を高めるかを検討した。その結果、殺細胞効果を最も高める標的はLig4であることを明らかにした。さらに、FA修復酵素の中ではFANCG、FANCD1がそれら両薬剤の殺細胞効果を高めた。A172ヒトグリオブラストーマ細胞にLig4またはFANCD1を標的としたsiRNA処理によって、両薬剤の増感を証明した。 (2) 神経膠芽腫細胞、舌がん細胞、肺がん細胞、歯肉扁平上皮がん細胞の殺細胞効果はX線に比べて重粒子線のLETに依存して高くなり、p53遺伝子型に関係なくアポトーシスを誘導すること、高LET重粒子線誘導p53非依存的アポトーシスにおけるCaspase経路はCaspase-8よりも、Caspase-9を経由したCaspase-3が関与することを報告してきた。そのしくみとして、等線量(2Gy)照射において、X線(150kVp)よりも重粒子線照射(鉄線290MeV/u, LET 200KeV/μm)で2Gy照射すると、X線よりも鉄線を照射した場合の方がAkt、リン酸化Akt、mTOR、rpS6、リン酸化rpS6、Survivinいずれも細胞内タンパク質量が照射2-3時間後をピークにいずれも効率的に減少していたことを本年度発見した。
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