2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍幹細胞を応用した実験動物組織に代替可能な高次人工組織の開発
Project/Area Number |
20659200
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片野 光男 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 典宏 九州大学, 大学院・医学研究院, 共同研究員 (20423527)
中村 雅史 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30372741)
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Keywords | 腫瘍幹細胞 / 腫瘍幹細胞療法 / Hedgehogシグナル / Glil / 造腫瘍性 / 遺伝子操作 / 疑似腫瘍幹細胞 |
Research Abstract |
本年度の研究計画と成果を記載する。 前年度の研究成果から、Glilが乳癌を含む種腫の癌腫において報告されている腫瘍幹細胞分画において高発現していることが示唆されたため、造腫瘍性の性格を有する腫瘍幹細胞様細胞の作製に焦点を当てた。 実験1:乳癌幹細胞分画であるCD44+CD24-/lowおよびSide population分画におけるGlil発現をHh経路阻害剤あるいはRNA干渉法にて抑制し、in vitroにおける分化・増殖抑制を確認し、免疫不全マウス移植系において造腫瘍性の抑制を確認した。本結果は、HhシグナルおよびGlilが腫瘍幹細胞に対する治療標的となる可能性を示している(Tanaka, Katano et al. Anticancer Research 29 : 2147-2157, 2009)。 実験2:上記成果に基づいて、人工腫瘍幹細胞様細胞作製を試みた。胃癌、膵癌細胞にGlil遺伝子を強制発現する細胞株を作成し、免疫不全マウス移植系において、造腫瘍性の獲得実験を繰り返し、浸潤能の亢進を示唆する結果を得たが、目的とする成果をえることはできなかった。 実験3:Hedgehogシグナル系関連分子の遺伝子発現を胃癌、乳癌、大腸癌、膵癌において網羅的に解析した結果、胎生期のシグナル系と矛盾する二つの結果を得た。一つは、Glil発現にHedgehogシグナル非依存性の経路のあること、二つ目は、Glil発現増強に関与する新たな機序の可能性を得たことである。後者の機序を利用し、コロニー形成試験によりGiil発現を高めることで、コロニー形成能の亢進、Glil発現を抑制することでコロニー形成能を減弱しうることが確認された。現在、免疫不全マウス移植系を用いて解析中である。 以上、本課題を再現することはできなかったが、今回見出した新たな機序でGlil発現をコントロールするという新規の腫瘍幹細胞療法開発へ展開する可能性の高いシーズ的な研究テーマを得た。したがって、本テーマに沿って新たな研究を展開している。
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Research Products
(4 results)