2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いた大腸癌術後遠隔転移の予測および新規遠隔転移関連遺伝子の検討
Project/Area Number |
20659211
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
渡邉 聡明 Teikyo University, 医学部, 教授 (80210920)
|
Keywords | 大腸癌 / 血行性転移 / 遺伝子発現解析 / マイクロアレイ / テーラーメイド治療 |
Research Abstract |
大腸癌外科的治療後の遠隔転移を来すハイリスク症例を選別できれば、ハイリスク症例に対して積極的な術後補助化学療法、あるいはintensiveな術後フォローアップを行うことにより、大腸癌外科治療後の予後の向上が期待できる。しかし、現在までに大腸癌外科的治療後の遠隔転移を高精度で予測するマーカーは確立されていない。今回、DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析により、大腸癌手術後に遠隔転移を来す症例を予測し、大腸癌に対するテーラーメイド治療を可能にすることを目的とした。 外科的切除が行われ、手術時に切除された大腸癌組織が直ちに凍結して保存されていて、術後5年以上経過観察されて遠隔転移の有無が確認されている症例のうち、大腸癌組織を用いた遺伝子研究に対してインフォームドコンセントが得られている128症例を対象とした。対象症例の凍結標本よりSepazolを用いtotal RNAを抽出し、T7-oligo(dT)24 primerを用いcDNAへ逆転写後、biotin標識cRNAを合成し、Affymetrix社のGeneChipにハイブリダイズして大腸癌発生及び転移や薬剤感受性に関連が考えられる約54,000種類の遺伝子発現解析を行った。遠隔転移の認められた38例と認められなかった90例の間で有意に発現の差のあった64遺伝子を抽出した。この64遺伝子を用いて、肝転移の予測式を作成した。予測式を作成する際には、GeneSpring(silicon genetics社)を用い、leave-one-out法の一種であるKNN法にて行った。この結果、予測精度68%で遠隔転移の有無の予想が可能であった。今後は、独立した症例により予測式のvalidationを行っていく必要があるが、本予測式により、遠隔転移ハイリスク例に対するテーラーメード治療が行える可能性がある。
|
Research Products
(3 results)