Research Abstract |
心室形成術や補助循環施行時に経験的には説明のしづらい心不全病態生理の変化が起こる. これらに対して, 本研究は, 微細形状記憶合金線維を応用した人工心筋開発技術を基盤として, 3次元のリアクティブ挙動が可能な心臓モデルを開発し科学的データを提示することを目的とする. 本研究で開発する装置は, 超小型のマイクロマシン化した機械式アクチュエータを集積し, 心臓の病態を3次元検査データに基づいて精密に再現し, さらに拍動を伴って心不全のメカニクスを動的に提示するものである. これは, 患者MRIデータに基づいて迅速にローコストで術前の形態を機械的に再構築し, 心筋の解剖学的構造を模擬した駆動メカニズムを組み込むことで, 循環生理学的知見に基づくロボット工学を応用した制御を行い, 外部からの形成による変形にリアクティブに対応する. したがって, 手術後の変形や心臓壁局所の収縮速度変化, および力覚の変化をオンサイトで情報としてフィードバックできる. 本年度は, 左室形成術適応となった患者4例の時系列MRIデータをもとにロボティクス制御の基盤となる心臓モデルを再構成手法にとくに着目して研究を進めた. 結果として, 短時間かつ簡便な計量可能で, 実際に触り, 切除と縫合を実機でシミュレーションできる(tangible)モデリング方法を確立し, 臨床での治療戦略の選定に充分に見合う動態モデルとなることを確認した. さらにこれらの病態データを力学解析し, デスクトップで心臓局所の病態を時系列心筋応力分布として定量表示できた. 次年度以降それらを心臓モデルへ投射フィードバックし, 心筋ロボティクス制御とオンサイトのリアクティブモデルの開発へつなげる.
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