2009 Fiscal Year Annual Research Report
未破裂脳動脈瘤に対するテーラーメイドステント治療法の開発
Project/Area Number |
20659221
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
滝 和郎 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70144368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 聡 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50252367)
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Keywords | 未破裂脳動脈瘤 / 頭蓋内ステント / 流体解析 / テーラーメイド / flow diversion |
Research Abstract |
脳動脈瘤の増大の過程においては母血管から脳動脈瘤内部への血行力学的なストレスがひとつの原因とされており、近年、脳動脈瘤の治療として動脈瘤入口部を頭蓋内ステントで覆うことにより血行動態を変化させ動脈瘤内部を血栓化させる方法(Flow diversion)が試みられるようになった。この方法は、脳動脈瘤そのものに処置を施す必要がなく、かつ脳動脈瘤が発生した母血管のみを対象に治療を行い得る点で従来の方法と全く異なっており、危険性が低く根治性は高いと考えられる。そこで、個々の脳動脈瘤の血行動態を解析し、その血行力学的ストレスを減少させ血栓化を促進するのに最適化されたステントを個別に(テーラーメイドに)作成する目的で、本研究では、ウサギ動脈瘤モデルを用い、脳動脈瘤内の血流をコンピュータ上で流体解析するとともに、母血管に留置したステントによりどのように瘤内の血流が変化するか、またどのような条件で瘤内血栓化が効果的に惹起されるのかを明らかにする。さらに、そのデータを基礎として動脈瘤血栓化に最適化されたステントを動脈瘤毎にデザイン・作成することをめざす。本年度は、開頭クリッピング術を行った破裂脳動脈瘤症例においてComputational Fluid Dynamics (CFD)を用いた流体解析を行い、術中所見との関連を検討した。破裂脳動脈瘤において開頭クリッピング術を施行した5症例においてCFDを行った結果、術中所見にて同定された破裂部位は、血流の衝突が少ない、血流速度が遅い、低いWSS(Wall shear stress)であった。これらの結果から、CFDを用いた破裂脳動脈瘤の流体解析は、破裂脳動脈瘤における破裂部位を予測するのに有用な情報となり得るとともに、ステントデザインの際に有用な情報を与えるものであった。
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Research Products
(3 results)