2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋ジストロフィー症の新規治療法としての霊長類胚性幹細胞由来筋細胞の移植応用
Project/Area Number |
20659238
|
Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 登 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 教授 (40235982)
|
Keywords | 移植・再生 / 再生医学 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 筋ジストロフィー / インシュリン様増殖因子 |
Research Abstract |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー症は呼吸筋・骨格筋の障害をもたらし患者のQOLは低下し且つ生命予後も不良である。我々はこれら筋疾患に対する根治療法として幹細胞から筋細胞を分化誘導し、これを用いた移植治療の研究を行なっている。筋ジストロフィー症モデルであるmdxマウスの筋細胞は異常ジストロフィン遺伝子のためジストロフィン蛋白を持たないが、ES細胞由来筋細胞と融合して正常にジストロフィン蛋白を発現する筋線維を形成した。 近年、ES細胞の持つ倫理的制約を回避できる誘導多能性幹細胞(iPS)細胞が樹立された。そこでiPS細胞にも同様に遺伝子導入で筋細胞を分化誘導可能であるかを検討した。より強いIGFII産生をもたらすため、CAG promoterの下流にIGFII遺伝子をサブクローニングしたpCAG-IGFIIを作成した。電気穿孔法にて上記プラスミドをiPS細胞に導入しG418耐性の安定した形質転換細胞(IGFII遺伝子を導入した細胞;IGFII細胞)を回収した。しかしこの細胞は過剰な細胞増殖を行い、腫瘍形成能を示したため、その後の検討は中止した。そこでiPS細胞を遺伝子組み換え可溶性IGFIIと共に21日間培養して筋細胞分化を誘導した。この細胞はIGFII受容体、骨格筋特異的蛋白であるMyoD、myogenin、MRF4、myf5、dystrophin mRNAを発現し、dystrophin蛋白も発現した。この成績はiPS細胞をIGFIIとともに培養することで、腫瘍化していない筋細胞を分化誘導できることを示している。今後、mdxマウスへのiPS細胞由来筋細胞の移植も行いその有用性を評価する。
|
Research Products
(9 results)