2009 Fiscal Year Annual Research Report
急性期脊髄損傷治療の効果判定を目指した血中神経損傷マーカーの有用性検討に関する研究
Project/Area Number |
20659240
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
飛松 好子 Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities, 義肢装具技術研究部, 部長 (20172174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 運動機能系障害研究部, 部長 (00392192)
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Keywords | バイオマーカー / 軸索損傷 / 髄鞘 / アストロサイト / ELISA |
Research Abstract |
平成21年度は前年度の結果から測定系が確立した血中pNF-H濃度の値が脊髄損傷治療開発において有用であるかを検討した。治療系として論文報告がされているミノサイクリン投与モデルを選択し、脊髄損傷直後から受傷後3日目まで一日2回の腹腔内投与をラットを用いて行った。その結果コントロール群では損傷後3日目のpNF-Hピーク値が0.112±0.011μg/gだったのに対し、ミノサイクリン投与群では0.088±0.018μg/gであった。次にこの値が最終的な運動機能改善の度合いを予測するパラメーターになりうるかを検討した。そこでコントロール群、ミノサイクリン投与群を併せて、それぞれの3日目のpNF-H値と最終運動スコア(4週目)の相関関係を解析したところ、統計的に有意な相関が存在することが明らかとなった(Spearman rank correlation coefficient : rs=-0.78;p<0.05)。すなわち、3日目のpNF-Hの値が小さい個体ほど、最終的な運動スコアが良好であることが示された。 pNF-H値は損傷を受けて血中に放出された神経軸索構成蛋白を反映していることから、この値が低いことは亜急性期に炎症によって傷害をうける軸策が少なかったことを示唆している。今回の結果から受傷後亜急性期の損傷マーカーとしてはpNF-Hが最も有用であることが示唆された。 今後、ヒト症例においてこのマーカーの有用性検討が行われれば脊髄損傷治療において重要な指標が確立されるものと期待される。
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