2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部悪性腫瘍からのがん幹細胞の分離・同定と、浸潤・転移における役割の解析
Project/Area Number |
20659241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
伊藤 和幸 Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses, 研究所, 部長 (20301806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 潔子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター, 研究所, 主任研究員 (40342993)
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / がん幹細胞 / 滑膜肉腫 / 肺転移 / IL-6 |
Research Abstract |
【目的】 炎症性腫瘍随伴症候を呈する滑膜肉腫症例より細胞株を樹立、がん幹細胞としての性質を解析。 【症例と方法】 30歳男性。左大腿軟部腫瘍を主訴に来院、レ線にて多発肺転移を認めた。生検の結果滑膜肉腫と診断、SS18-SSX1キメラ遺伝子の発現を確認。化学療法開始直前肺転移巣は著しく増大し、白血球増多、高CRP血症、高IL-6血症などの炎症性腫瘍随伴症候を示した。IFO+ADMの投与により原発巣、転移巣ともに縮小、CRPも正常化し、腫瘍随伴症候は一旦消失したが、3クール目より抗がん剤不応性となり原発巣、肺転移巣は再増大、腫瘍随伴症候再燃し、脳転移を生じた。4クール終了後、原発巣、脳転移巣の手術を実施、インフォームドコンセント取得後、原発巣より培養細胞樹立、継代を行い、得られた細胞株の形態、培養上清の成分、増殖速度を調べ、ヌードマウス背部皮下移植実験を行った。 【結果】 10%FBS+DMEM内で培養された細胞株はdish表面に接着する群とspheroidを形成し浮遊する群の二つの形態を示し、培養液中にヒトIL-6を大量に産生していた。Doubling timeは30-40時間。ヌードマウス移植実験で200個の細胞の移植で経時的に増大する腫瘤形成が観察され、マウス血中でヒトIL-6が異常高値を示した。また、ヌードマウス肺に肉眼的に明瞭な肺転移巣が複数観察された。 【考察】 樹立された滑膜肉腫細胞株はin vitro,in vivoにて自立性にIL-6を産生する能力を有し、2次元培養条件下で足場非依存性に浮遊状のspheroidを形成する特異な性質を示した。ヌードマウス皮下移植実験で腫瘤形成能に加え、滑膜肉腫細胞株では初めて肺転移能を有する細胞株が樹立された。今後、本細胞株を用いてIL-6 signalがanoikisや肺転移巣形成に及ぼす影響を調べるとともに肺転移に対する種々の治療実験を計画中。
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Research Products
(12 results)