2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻川 洋 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (20362501)
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Keywords | モルヒネ / P53 / DNA損傷 |
Research Abstract |
本研究では、モルヒネの免疫抑制をもたらす作用機序の解明を目的としているが、これまでの実験より、モルヒネはP53経路を介しヒト末梢血CD3陽性細胞にDNA損傷をもたらし、この際には、P53ばかりでなく、damage-specific DNA binding protein (DDB2)、eukaryotic translation initiation factor5A (eIF5A)が重要な役割を果たすことが示唆された。このDNA損傷は、ナロキソン投与にて抑制され、この細胞ではオピオイドк受容体遺伝子のみ存在が確認されたため、к受容体を介することも考えられた。 DNA損傷の修復機構には、細胞周期を停止させ修復するか、その修復が不可能な時は、アポトーシスを誘導する。 今年度、モルヒネが、DNA損傷を誘発する濃度0.1μMでヒト末梢血CD3陽性細胞に、アポトーシスを誘導するかを検証したが、アポトーシスは見られなかった。そこで、細胞周期停止によるDNA損傷修復機構を検証するに至った。 自己増殖能はないCD3陽性細胞が、IL-2、LPS、PHAなどの外部刺激(ストレス)に対する増殖能へのモルヒネの影響を検証することに重要性を見出し、PHA刺激後のヒト末梢血CD3陽性細胞における増殖が、モルヒネ添加で影響を受けるかを調べたところ、モルヒネにより明らかに抑制をされた。モルヒネは、ヒト末梢血CD3陽性細胞の外部ストレスに対する反応性増殖を抑制し、さらに、本細胞において、IL-2mRNAの産生能を低下させることもわかった。これは、モルヒネの免疫抑制を考える際の一要因となり得ると思われる。
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Research Products
(3 results)