2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻木 範明 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (70153963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
首藤 聡子 北海道大学, 病院, 助教 (10399892)
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Keywords | 温熱療法 / アポトーシス / Ku70 / ヒストンアセチル化酵素 |
Research Abstract |
Bcl-2ファミリーはアポトーシス経路を構成する代表的なものである。Baxはアポトーシス誘導に働き、Bcl-2はBaxとヘテロダイマーを形成することにより、そのアポトーシス誘導能を阻害する。今回は肺癌細胞を用いて実験を行った。調べた全ての培養肺癌細胞において多量の野生型Baxが発現していた。Bcl-2は細胞質内に、Baxは核内および/あるいは細胞質に局在を認めた。42.5度に加熱したところ、肺癌細胞ではBaxが核内へ移行し、細胞はアポトーシスを回避した。この局在変化は加熱後30分から始まり、3時間以内に完了した。Bcl-2はリン酸化されなかった。免疫共沈法とFar Westernプロット解析を行い、加熱によりBaxとBcl-2が解離し、Ku70とBaxの結合が増加していることを確認した。共焦点レーザー顕微鏡で観察したところBax/Ku70複合体が核内へ移行し、結果として細胞質内のBax量が減少していた。そのために肺癌細胞が加熱によるアポトーシスから回避していると考えられた。さらに、Ku70に対するSiRNAの細胞内導入により、Baxは細胞質内にとどまり、導入細胞ではコントロール細胞の2-3倍のカスペース依存性のアポトーシスが加熱後1-6時間の短時間におこることが確認された。Annexin V染色により、細胞死の増加がネクローシスではなくアポトーシスであることを確認した。すなわち、Baxが細胞質内のミトコンドリアにとどまるか、あるいはKu70と結合しているかが、癌細胞の細胞死決定に重要な役割を果たしているのではないかと考えられた。これらの結果により、癌細胞の死はアポトーシス経路を構成する蛋白以外にアポトーシスを回避するメカニズムに関与する因子によって制御されており、これらの因子を標的とした新しい治療法により癌細胞のアポトーシスを誘導できる可能性が示された。
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Research Products
(3 results)