2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
後藤 浩 Tokyo Medical University, 医学部, 教授 (10201500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 嘉彦 東京医科大学, 医学部, 助教 (50408142)
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Keywords | 眼内悪性腫瘍 / 癌免疫療法 / ぶどう膜悪性黒色腫 / 樹状細胞 / MHCクラスI / 補助シグナル分子 / 抗原提示能 / アポトーシス |
Research Abstract |
癌免疫療法を開発していくためには、癌細胞に対する免疫応答を効率よく誘導することが重要である。多くの癌細胞は自己に由来するため免疫寛容状態にある。免疫寛容状態にある癌細胞に対して効率よく癌免疫療法を確立していくために、我々は樹状細胞に着目した。樹状細胞はマクロファージなどの他の抗原提示細胞と比較して、主要組織適合抗原(MHC)や補助シグナル分子を高く発現し、唯一、ナイーブT細胞を強力に活性化できる抗原提示細胞であることが知られている。そのため樹状細胞は癌免疫療法における最も効果的なアジュバンド(免疫賦活化)として注目されている。実際、進行期悪性黒色腫患者に対する樹状細胞を用いた治療効果が臨床的に確認されている。 そこで我々は眼内悪性腫瘍の代表であるぶどう膜悪性黒色腫が樹状細胞に与える免疫学的な影響を検討した。ぶどう膜悪性黒色腫細胞をヒト単球由来樹状細胞と24時間共培養し、樹状細胞におけるMHCクラスI、MHCクラスII、CD80、CD86、CD40の発現とアポトーシスの有無をフローサイトメトリーで解析した。また、ぶどう膜悪性黒色腫と樹状細胞を共培養したのちに樹状細胞を分離し、T細胞に対する増殖能も検討した。ぶどう膜悪性黒色腫と樹状細胞を共培養すると、樹状細胞はMHCクラスIと補助シグナル分子の発現が低下し、さらにアポトーシスが誘導された。ぶどう膜悪性黒色腫細胞と共培養された樹状細胞は、T細胞増殖能が低下していた。ぶどう膜悪性黒色腫による樹状細胞の抗原提示能低下およびアポトーシスの誘導は免疫学的に悪性度が高い癌であることを示唆し、樹状細胞による免疫療法を実施する上で留意すべき現象と思われた。今後はぶどう膜悪性黒色腫による樹状細胞の抗原提示能低下のメカニズムや、アポトーシスを阻害する機序を解析する予定である。
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